2017年 08月 13日
百名山スルーの山旅(明神〜双六〜烏帽子〜七倉) 1日目
明神岳が美しい!
不安定な天気が続いていたが、出発当日は朝から晴れていた。ここまで来れば、あとは二時間程度の歩きで槍ヶ岳の肩に着くだろうか?
分岐から10分ほどで最終の水場。
ここで喉を潤し、顔も洗う。
タオルを湿らせて首に巻き、体の熱を下げる。
気持ちいい。
槍が近づいて、いや、槍に近づいてきた。
それに比例して、空腹感が増す。
シャリバテか?
足が進まない。
当初槍ヶ岳山荘で昼飯を食い、ゆっくりした後西鎌を歩こうと
思っていたが、そこまでもちそうにない。
針路を殺生ヒュッテへ取る。
ラーメンが食べたかったが、無いので大盛りカレーを注文。
注文して席に着くと、何故か目の前が暗くなる。
何だ⁉︎
シャリバテが酷すぎて目の前が暗くなったか?
こんな経験は初めて。
思えば、ここ数日食欲がそれほどなく、あまりモノを口にしなかった。
そのツケが今出たのかもしれない。
やはり、山行前に充分栄養を蓄えておくのは必要だ。
出てきた大盛りカレーをペロリと平らげた。
それでもまだうどんやカップラーメンも食えそうだったが、
槍ヶ岳山荘で休憩がてら食うことにした。
食べながら気にはなっていたのだが、手の指先が何故か軽く痺れる感じ。
何だ⁉︎
特別寒いとかいうわけでもないのに…。
動いて体に血が回れば、それも解消すると思い、槍の肩へと向かう。
槍の肩に着くと、そこはやはり大賑わい。
けれど、槍の穂先は思ったほどではない。
遭対協の人の話では往復1時間程度だろうとのこと。
槍の穂先を尻目に何か食べようとしたが……。
小屋の食堂は激混み。
あっさり諦め、また時間もそれほど遅くもないので、
予定通り双六小屋まで向かうことにする。
槍の肩から千丈沢乗越まではかなり急な下り。
落石を起こさぬよう、注意して歩く。
千丈沢乗越を越え、小さな登りを歩いている時だった。
突然右の腿の内側が攣りそうになる。
えっ!
こんなこと初めてだ。
風の吹いてないところを探し、休もうとすると、今度は左の腿の内側まで……。
当然こんなこと初めてだ。
弱った。
調子悪くなければ、ここから2時間程度で双六小屋まで行けるだろう。
しかし……。
今は明らかに調子悪いと言ってもいい時だ。
エスケープが頭をよぎる。
千丈沢乗越から槍平に下山だ。
そうするなら早い方がいい。
さて、どうするか?
そんな時、先ほどの下りで追い抜いてきた年配ご夫婦が歩いてきた。
事情を話すと、少し休んだ後ゆっくり歩いていけば大丈夫!と
あたたかい言葉をくれた。
その言葉通り、少し休んだ後再び歩き出す。
腿に負担がかからぬよう、意識して歩幅を小さくする。
おっかなびっくり歩く。
完全に攣ったら、或いは、あと2回攣りそうになったら、
引き返しエスケープかなと考える。
鎖場の手前に来た時、再び攣りそうになる。
弱った。
もしかしたら、今が引き返す時なんじゃないか?
いや、未だ攣ってはいない。
葛藤を繰り返す。
あと一回だな……。
鎖場を下ると、先ほどのご夫婦に追いつく。
ちょっと立ち話をすると、またまた励ましの言葉をくれた。
結果的には、これらの励ましが大きかったのだと思う。
この後両足が攣りそうになることもなく、何とか歩き通せた。
足に負担がかからぬよう、かと言って遅くならぬよう、
今の自分なりのスピードで歩く。
尾根の右を行き、左を行き、双六へと向かってゆく。
あそこを歩けたら面白そう。
足を気にしつつ歩いている為、
前回双六小屋から西鎌を歩いた時よりもスピードは遅い。
けれど、今の精一杯で歩き、とりあえず無事に小屋に着けばいい。
遅くとも休まずに歩を進めてゆく。
硫黄乗越まで来た。
あとは樅沢岳まで一踏ん張りだ。
意外に急な登山道を黙々と歩く。
あとは下るだけ。
ここまで来れば、今後仮に両ももが攣っても、間違いなく小屋には
たどり着けるだろう。
ちょっとホッとした。
by torajiro-joshu
| 2017-08-13 23:59
| 山歩き