雪の中へ、風の中へ…。〜残雪期槍ヶ岳山行〜(2日目) 2/2
空き空きかと思ったら、結局定員きっちりだった。
予定通り、昼前に登頂を済ませた。
外でのんびりしたいとこだが、風が強い。
そうこうしてるうちに霰が落ちてきて、屋根はすぐに真っ白になった。
やることもないので、祝杯という名の昼飲み。
名前は何でもいい。
登頂できなきゃできないで、残念会という名の昼飲みとなってることだろう。
談話室で飲む。
すると、目の前を歩いてくる、見覚えある女性。
あれっ…!?
Mさん!?と思ったが…。
まさか…ね。
声をかけそびれた。
しかし、また前を通る女性。
やっぱり…。
でも、また声をかけそびれた。
人違いなら、恥ずかしいし…。
しかし、どうにも似てる。
それに…、同じテーブルにいる人は…。
あっ!Sさん!?
いや、やはり、たけさんのお友達のMさん、Sさんやろ!
そのお仲間さんの女性が目の前に来たので、思い切って訊いてみた。
果たして、去年の白峰三山縦走でお会いしたMさん、
数年前南岳山行でお会いしたSさんらのパーティであった。
Mさんも、座っていた男を「寅さん!?」と思ったらしいが、
まさかと思い、声をかけられなかったそうだ。
思いがけぬ再会で盛り上がり、色々話をした。
Sさんパーティも同じような日程の山行で、昨日は槍沢でテン泊したそうだ。
いやはや、奇遇である。
思いがけず楽しい一時を過ごすことができ、本当に良かった。
外は、さっきよりも強い風が吹き、霰が飛んでいる模様。
窓からは何も見えない。
夕食。
満足感はあったものの、同じようなメニューなら、
昨夏の赤牛山行の時に、奥黒部ヒュッテで食べた”男メシ”の
インパクトの方が強かったので、かえって、
そっちを思い出すことになってしまった。
また、あの”男メシ”が食べたい。
夕食後、外を見ると、槍が出たり隠れたり…。
槍が出た!
吹き荒れる風と、それに乗った霰が顔に当たり、凄く痛い。
それを我慢して、必死に写真を撮る。
写真ではよくわからないが、静かそうな写真に見えるかもしれないけど、
シャッターを切る間、常に強風と霰に打ち付けられてる。
18時頃でも、強風でも、まだ登ってくる登山者がいる!!
この日も、穂高では遭難があった筈。
技量も経験も人それぞれだけど、俺はこんな時間まで行動したくないな。
常念と影槍。
常念と影槍 その2。
槍が静かそうな表情を浮かべる。
大喰岳と、その向こうに乗鞍。
猛烈に吹雪く中で、裏銀。
西鎌へと下りる登山道の方へ写真を撮りにいったが、
顔に当たる霰が痛くて、数十秒と顔を向けていられない。
猛烈に吹雪く中で、笠方面。
前穂のギザギザが出てきた。
やはり、その姿は美しい。
笠の向こうには白山が!
徐々に焼けてくる西の空。
手前の硫黄が、相変わらず荒々しい。
裏銀方面もピンク色に。
紅く染まる槍。
正に夕陽が沈まんとす。
期待通りには焼けなかったが、色の変化を楽しませてくれた。
前穂方面も焼けはイマイチだったが、なかなか綺麗だった。
[コースタイム]
槍沢ロッジ(-/5:37)〜ババ平(6:07/6:10)〜殺生ヒュッテ付近(8:47/9:00)〜
槍ヶ岳山荘(9:41/9:55)〜槍ヶ岳(10:18/10:27)〜槍ヶ岳山荘(11:09/-)