船窪岳〜烏帽子岳縦走 1日目(七倉〜船窪小屋)
梅雨明け十日なのに、雷雨かよ…。
行きたい山の候補はいくつかあった。
けれど、雷雨の可能性ありでは、無難に歩行時間が短い方が良かろう。
ということで、いつか泊まってみたいと思っていた船窪小屋を目的地とし、
そこから今回のコースを選択した。
とはいえ、前夜出発し、七倉で車中泊を考えていたが、
こちらでは雷雨となっていて、出発するのがイヤになっていた。
なので、当日の早朝に家を出ることにした。
果たして、読みは当たり、当日はマズマズの天気。
快適な天気の中、先ずは七倉へと向かった。
七倉の駐車場を出る前に、小屋に予約の電話を入れる。
登山届けを提出し、船窪小屋へと向かう。
到着目標は、おそらく雷の心配がない12時。
橋を渡り、トンネルの手前から登山道に入る。
緑が眩しい。
気持ちいい風景だ。
が…、いきなりの急登。
群馬南部よりは遥かに涼しいとはいえ、
思ったほど涼しくない。
少し歩いただけなのに、汗が一気に吹き出る。
黙々と斜面に足を踏み出してゆく。
涼しさは微塵も感じられない。
急なつづら折れの道を息せき切りながら登る。
やがて道は緩やかになる。
そう思ったのも束の間。
再び急な道となる。
なかなか変化に富んだ道だ。
時折樹間からのぞく峰々が綺麗。
北葛岳方面!?
唐沢岳方面!?
道は更に急となり、鼻突八丁と呼ばれる急な斜面となる。
写真では伝わり難いが、本当に結構急だ。
けれども、しっかり整備されているので、歩き難くはない。
樹々の中の道をひたすら歩き続けると、やがて、空が広がり、
その青が俺を迎えてくれた気がした。
ふと左を見遣ると…、
雲の切れ間から槍が見える!
本日の展望はさほど期待していなかっただけに、かなり嬉しい。
もう少し登ったら、休んで、景色を楽しもう!と思ったら、
そこはもう「天狗ノ庭」だった。
先行する登山者のおばさんや御夫婦が休んでいた。
どちらのパーティも今日は船窪小屋泊まりということで、
結構ノンビリしていた。
この時、御夫婦とは会話を交わしたが、この御夫婦、すごく元気で、
年齢をきいてびっくりしてしまった。
もし俺がその時まで生きているなら、
俺もあんな風に元気に山歩きがしたい!
それにしても、「天狗ノ庭」は眺めがいい。
遠くの槍をみて楽しみつつ、明日歩くコースもしっかり見た。
吹き上げる風が気持ちいい。
空の青さも、白い雲も、夏山を充分に感じさせてくれる。
「天狗ノ庭」の背のピーク。
あともう少しだ。
これを越えれば、船窪小屋はすぐの筈。
明日の取り敢えずの目的地、烏帽子も小さく見える。
結構遠いなぁ…。
それもその筈。
直線距離にして、凡そ3kmもあるのだから…。
相変わらず、槍は存在感がある。
今回は烏帽子までの予定だが、いつか近いうちに、
烏帽子から槍まで繋げたいなぁ。
天狗ノ庭から船窪小屋に向かう途中には、
今が盛りと、たくさんの花が咲き乱れていた。
おかげで足が進まない。(笑)
遠くに目を見遣れば、蓮華岳、北葛岳が見えていた。
実に快適。
雲上散歩といった気分。
チングルマとイワカガミが咲き競っていた。
花畑を抜けると、大きく針ノ木岳と立山の姿が飛び込んできた。
そして、その間には劔が見え隠れしている。
いやはや、素晴らしい景色。
来て良かった!と本当に思った。
山にばかり目を奪われていたが、よく見ると、青い屋根の建物が…。
船窪小屋、いいところにありますね!
うわ〜っ、やっと来れた〜!なんて感激しつつ歩いていると、
小屋の手伝いの方が俺を発見して、鐘をならして歓迎してくれ、
更にはすぐにお茶も出してきてくれた。
更には、疲れただろうとサンダルまで出してきてくれた。
もう大感激!
山でここまでしてもらったことなんかない。
すごいもてなしに、本当に感動した。
宿泊手続きを済ませ、少し休んだ後、
凄いところにあるというウワサの水場に向かう。
水場に向かう途中、小屋を振り返る。
稜線上の僅かなスペースに、実にいい感じで存在している。
下を覗き込むと、七倉ダムと思しき姿が見えた。
キャンプサイトを通り越し、水場へ。
ムム…。やはり、凄いところにある!
水の出ている場所には、ひと一人分のスペースしかないので、
待機できる場所で、待っているしかない。
ここの水は、冷たくて、本当にウマい。
ドバドバ出てくる水を汲むだけでは飽き足らず、
飲んだり、顔を洗ったりもした。
それにしても、ザレていて、本当に凄いところにある水場だけど、
そこまで毎日水汲みに出かけるという小屋の方には本当に頭が下がる思いだ。
これだもん、お茶が最高に旨い筈だ!
水を汲み終わり、小屋に戻る頃には、さっぱりした筈の顔が
またグチョグチョになっていた。
水を満タンにしたので、待望のビールを一本。
見え隠れする山々を肴に…。
いやはや、ホント最高!
運動後に、涼しいところで、素晴らしい景色を眺めながら、
昼間からビールなんて!
しばらくノンビリした後、お待ちかねの夕食。
この日は天気がいいのでテラスで…。
船窪小屋自慢の夕食。
揚げたての天ぷらに、酢の物、煮物、春巻き、蕗味噌ののった豆腐等。
それに赤米のごはんにみそ汁。
写真にはないが、デザートにクロマメの木の実入りゼリーも!
本当に、どれをいただいてもウマかった。
最高に贅沢な、山小屋の夕食だった。
これまた、この小屋自慢のランプと囲炉裏の間で、
夕食後にネパールティーを振る舞っていただいた。
香りのいい紅茶で、これもとてもウマかった。
この日は、この小屋のスタッフのペンバさんに歌を披露していただき、
とても楽しいお茶会となり、
暗くなってから降り出した雷を伴う雨の存在さえ忘れさせてくれた。
[コースタイム]
七倉駐車場(-/8:35)〜1710m付近(9:51/10:04)〜
天狗ノ庭(11:20/11:39)〜船窪小屋(12:16/-)