寅次郎がゆく!

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南岳へ 〜雨中の下山〜

雲間に瞬く僅かばかりの星は…姿を消した。
屋根を叩く強い風は、屋根を打つ強い雨へと変わった…。

夜中の3時頃から降り出した雨は、
やむ気配など一向に見せやしなかった。

起きるのがイヤになった。



玄関口に向かうと、たけさんパーティは出発の準備をしていた。
雨の影響で左俣下降を断念し、天狗原経由で下山するとのこと。

間もなく出発するということだったので、山での再会を約束し、
お世話になったお礼の言葉を述べた。

ひゃあひゃあさん、masterさんは連泊するとのことだった。
俺も翌日好天が望めるならそうしたかったが、
その可能性は低いようだったので、下山することにする。
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朝食。3000mで食べているとは思えないほど焼鮭がウマかった。
朝からワシワシ食って、一日の活力とする。

朝食後、さて、どのコースで下山しよう?と思案する。
天狗原経由で上高地に下山か、
槍まで行って、槍沢を下山か、
南岳新道を下山し、新穂高からバスで沢渡まで行くか…。

ひゃあひゃあさん、masterさんと相談してみた結果、
やはり一番リスクの少ない下山ルートと思われる
天狗原経由で上高地に下山することにする。

カッパの上下を着て山を歩くなんて久々だ。
俺も一日停滞したいが…。
仕方あるまい。
諦めて出発することにする。

ひゃあひゃあさん、masterさんと再会を約束し、雨の中、小屋を出た。

雨にもかかわらず、ひゃあひゃあさんとmasterさんに見送ってくれた。
ありがたい。

ガスの為、視界が悪い。
360°、白い世界。
体が全然あたたまっていないので、歩き始めが結構辛い。
おまけに昨日から痛い足が…更に痛い…。
この先どうなるか…?昨日とは違う意味で不安を感じる。

小屋を出るとすぐに南岳の頂上に出るが、勿論何も見えない。
そして、当然、登山者の姿も見られない。
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横尾尾根へと下る分岐迄来た。
昨日は360°見渡せたが…。
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最初の鎖場。
写真ではそうでもないが、案外急なところ。
転げ落ちないように足元に注意し、慎重に歩く。
雨は冷たいものの、手がかじかむ程ではないのは幸いだ。
手足をフルに使い、下山してゆく。

途中で、南岳小屋でも一緒だったおじさんが歩いていた。
おじさんが道を譲ってくれたので、遠慮なく前へ進むことにする。
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コルから上方を振り返る。
相変わらず大きな岩が折り重なっている。
氷河の押し出す強大なパワーを感じた。
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天狗池。
晴れていれば逆さ槍が綺麗だったろうが、
この日はただの池でしかなかった。
この日、天狗池自体には何の面白みもなかった。
池の水が槍沢方面へとどんどん流れていた。
去年は気付かない光景だった。
後で、これが槍沢方面へと落ちる滝になるらしいことを知る。
雨だったけど良かったと思える、この日唯一の光景だった。

天狗池からほんの少し登り返し、岩の上を歩いてゆくと、
サラサラと水が流れる音がした。
これも去年は気付かなかったが…(鈍いな、俺…)、
水が伏流していたようだった。

雨なので休まずにどんどん下ってゆくと、
前方に視界が開け、大きな沢が現れた。
槍沢だ。
案外早かったなと思う。
そして、更に歩き、目をこらすと…、
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天狗原分岐だ!
小さく登山者の姿が見える。(写真中央左上付近に人が見える。)
よし、あそこで休もうと気合いが入る。
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登山道脇に見たナナカマドの実。
雨に濡れた姿が綺麗だった。
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槍沢が下の方まで見渡せた。
さすがにこの時期だと雪はない。
水の流れがはっきり見えた。

天狗原分岐まで目と鼻の先になると、手を振る登山者の姿が!
たけさんパーティだ!

分岐まで急いで駆け下りる。
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天狗原分岐

分岐でたけさんパーティに会うと、みなさんニコニコしていた。
雨なのにすごく楽しんでいるなぁと思った。

実のことを言うと、たけさんパーティとは、
この日はもう会えないと思っていた。
なので、会えたことがすごく嬉しかった。
再会を祝して!?一緒に記念写真を撮ってもらう。

たけさんパーティは直に出発。
一方、それ迄ノン・ストップだった俺は少し休んでいくことにした。
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天狗原方向を振り返ると、滝が見えた。
あの水流はやがてこの滝となるのだろう。

あまり休んでいても体が冷えてしまうので、
その前に出発することにする。

出発するとすぐに沢筋に猿が見えた。
「さっき迄猿がいたのよ」とたけさんが言っていたので、
注意して歩いていたら、本当に沢の方に猿が見えた。
やっぱり自然が豊富なんだなぁとあらためて思う。

下るにつれ、足の痛みが増してきていた。
左アキレス腱の辺りと左膝、右足首が痛い…。

まだ半分も歩いていない。
なんとなく嫌な感じがしていた。
後半の林道歩きがかなりキツくなりそうな予感がした。
なので、斜面を利用し、槍沢ロッジ迄はちょっととばしてみようと思った。

痛いながらも斜面を利用して下ってゆくと、
水俣乗越手前付近でたけさんパーティとまた再会。
道を譲ってくれたので、先に行かせてもらうことにする。

この時、槍沢ロッジ辺りでまた再会するだろうと思っていた。
しかし…。

下るにつれ、どんどん足が痛くなってくる。
これはマズい…。
槍沢ロッジに着いた時にはかなり足が痛くなっていた。
それなので、とりあえず横尾まで下りてゆくことにした。

槍沢ロッジを過ぎると、登りの登山者が多く目につくようになった。
雨の、しかも日曜なのに結構登山者がいるんだなぁとビックリする。

雨は一向にやまず、ずっと降り続いている。
古いカッパのパンツはもう水をはじかなくなっていた。
そして、靴も中までビショビショ。

今になってよく考えると、これがいけなかったようだ。
俺の足のサイズは右と左でワン・サイズ違う。
大きい方の右足にあわせると、必然、左足には靴が大き過ぎることとなる。
ただでさえ左の靴が足にあっていない。
その左靴の中で足が動くことによりアキレス腱付近を圧迫していた。
靴下がビショビショになり、更に靴の中で足が動きやすくなる。
そのせいで、アキレス腱付近にかなりのダメージをあたえたらしい。
そして、それを庇ううち、膝にまで痛みがくるということになったようだった。

それでも、ワシワシと俺は進んでいった。
足が本当に痛かった。
けれど、とにかく横尾迄と思って、頑張って歩いた。
林道まで行けば、這ってでも帰れるだろうと思って…。

横尾の建物が見えた時にはホッとした。
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横尾大橋の前には誰もいなかった。
ほとんどの登山者は小屋前で雨宿りしていた。

それまでほとんど物を口にしてこなかったので、
ここで少し休む。
しかし、ズボンまで湿ってしまった為、動いていないと体が冷える。
そして、痛みも増してくる。
足が動かないなんてことにならぬよう、早めに出発することにする。
本当はたけさんパーティを待っていたかったのだが、
足の具合がそれをゆるさなかった…。

天狗原分岐以降ほぼ同じようなペースで歩いていた、
南岳小屋で一緒だったおじさんもすぐに歩いていった。

長い時間休んだわけではないのに、体はかなり冷えていた。
足もかなり痛い。
おじさんの姿も全く見えない。
俺はただひたすら上高地に向けて歩いていった。

横尾から上高地への長いことといったら、もう半端ではなかった。
前日、ひゃあひゃあさん、masterさんと楽しく歩いた林道も
この日の俺には苦痛でしかなかった。
もう、ただひたすら、前へ前へと歩き、上高地を目指した。
修行しているような気分だった。

徳沢でラーメンを食べたかったが、パス…。
また次回に持ち越そうと思い、断念した。

とにかく必死で歩いたが、全然ペースはあがらない。
それでも休むことなく歩き続けた。

小梨平を間近にする頃、おじさんが視界に入った。
しかし…、最後迄追い付くことは出来なかった…。

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雨の河童橋。
いつもはゲンナリする河童橋だが、この日だけは嬉しかった。

ここで俺の緊張の糸が切れた。
両足が急に重くなった。
そして、足を引きずるようにしてバス・ターミナルへと向かっていった。

前日は、本当に楽しい山歩きだった。
小屋でも存分に楽しめたし…。
しかし、一転して2日目は苦行のような山歩きとなった。
体力的問題というよりは装備の問題といったことが、
自分にとって良かったのか悪かったのか…。

ちなみに、帰宅後に足をみると、
右足首は軽い捻挫のような状態になり、2〜3日腫れていた…。
また、アキレス腱の違和感は約1週間続いた。

色々検証してみると、靴のサイズの問題もあったが、
靴下の”へたり”も良くなかったのかもしれない。
とにかく、今後は左の靴に工夫をしなければいけないと思った。
また、へたり気味の靴下も長い距離を歩く場合には履いてはいけないと思った。

今年の俺の夏山!?は、甘さと苦さを同時に味わい、終わった。
来年はもっと楽しめるよう、もうちょっと、体力面も含めて工夫したい。

最後になりましたが、お世話になったみなさん、
どうもありがとうございました。
とても楽しい山行でした。



コース・タイム
南岳小屋(-/7:34)〜横尾尾根分岐(7:52/7:54)〜横尾尾根コル(8:15/8:17)〜
天狗池(8:32/8:35)〜天狗原分岐(8:56/9:14)〜ババ平(9:45)〜
槍沢ロッジ(9:59)〜一ノ俣(10:20)〜槍見河原(10:26)〜
横尾(10:54/11:11)〜徳沢(11:55)〜明神(12:33)〜河童橋(13:06)
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Commented by takebow at 2007-10-11 15:48 x
何か身につまされてきました。今年の私の山行を思い出しました。でも違うのは虎次郎さんの場合は、キチンと上高地まで下山できている点です。儂の場合、横尾でダウン。次の日に足を引きずって横尾~上高地間をトロトロ歩くという点でしょうか。
でも苦しいこともあるから山の良さが倍加するのでは無いでしょうか?小生もそう思って歩けなくなるまでは山に行き続けようと思ってます。
Commented by master at 2007-10-11 20:46 x
待ってましたよ、南岳レポート。
1日目、2日目と一気に読みました。
あの週末の記憶がよみがえりますね~。
しかし、寅次郎さん速い!(足の具合は大丈夫ですか?)
「上州のスピードスター」と呼ばせてください。
またどこかご一緒しましょう!
Commented by torajiro-joshu at 2007-10-11 22:09
>takebowさん、こんにちは。
たいして変わらないですよ。
それにしても、あの上高地〜横尾間の林道はキツいですよね。
まぁ、あれがあるからこそ、あの奥は自然が
保たれているのかもしれないですけどね…。
あの林道で観光客をふるい落とすんでしょうね。
苦しくもあり、楽しくもある山歩き、お互いに楽しく続けていけたらいいですね。
Commented by torajiro-joshu at 2007-10-11 22:25
>masterさん、こんにちは。
お待たせしました!(という割には内容薄めですが…。)
御蔭様で、初日は本当に楽しかったですよ!
2日目は地獄を味わいましたけど…。

僕はそんなに早くはないでしょう。
2日目、いっぱいいっぱいでしたから…。
むしろ、masterさん、ひゃあひゃあさんの方が早かったと思いますよ。

気遣っていただき、ありがとうございます。
御蔭様で、足の具合はもう大丈夫です!
でも、一番悪いアキレス腱には、一週間位違和感がありましたよ…。
トホホです…。

これからは、「上州の寅次郎」とお呼び下さい。(って、そのまんまや!笑)

是非、またご一緒しましょう!
その時は宜しくお願いします。
Commented by たけ at 2007-10-12 00:22 x
左と右と足のサイズが違うのですか~?!
それで足が痛くなってしまうのですね。
左側には中敷入れるとか何かいい方法はないでしょうか?
あの日私も靴の中ぐちょぐちょになりました。
ゴアガッパはもはやゴアの役目を果たさず、ずぶぬれでした。
横尾から先も足が痛かったのに早いじゃないですか~?!
これじゃ、私たちが追いつけなかったのも納得です(笑)
雨で寒かったし、先に下山していただいて正解でした。
あっ、温泉で待ち合わせしたらよかったですね!
初日に着てらしたノースのジャケット、おNEWだったんですね!
ブログ拝見しました(笑)
Commented by torajiro-joshu at 2007-10-12 21:27
>たけさん、再びこんにちは。
右と左とで5mm違うのです…。多分、これがいけないんです。
たけさんご提案の通り、中敷を入れるしかないようです。
オーダーメイドの中敷がいくらするのか見てきたら…、
なんと!約2万〜2万5千円もするんです!!!
僕には手が出ません…。(涙)

アキレス腱の痛み防止と足首の保護のどちらを優先するか考えると、
前者を優先させた方がいいような気がしてます。
とすると、この際思い切って、トレイルランニングシューズで山に行くしかないか!なんて考えてます。
東京のasicsストアで足を機械で見てもらい、そこでそれと
中敷を買うかなぁなんて…。
これなら、多分、先程の中敷の値段で買える筈ですから。

たけさんも靴とカッパが酷いことになってたんですね!
あの日は結構雨強かったですもんね…。

横尾から先は本当にいっぱいいっぱいでした。
泣きそうになりましたよ。

ノースのジャケット、あの時初めて着ました。
雨の日は着ないぞ!?って思っていたんですけど(笑)、
いきなり着ることになり、ちょっと残念でした…。
Commented by O at 2007-10-12 23:30 x
足の不具合を抱えながらの下山、本当にお疲れさまでした。
寅次郎さん、早いですよ~。
左右で足のサイズが違うのって大変ですね。
一刻も早く対策が取れるといいですよね。
あ、今年の8月、南岳にトレランシューズで行ったのは私です。
南岳小屋で結構恥ずかしかったです・・・。
みなさんきちんとした靴、はいてらっしゃるので。
Commented by torajiro-joshu at 2007-10-13 21:20
>Oさん、こんにちは。
ありがとうございます。
いっぱいいっぱいになりながらも、なんとか下山できました…。
後半(林道歩き)がちょいとだらしなかった感じでした…。(涙)

左右の足のサイズ違いは本当に厄介です。
中敷か靴下で調整するしかないんでしょうけどね…。
ちゃんと対策をとろうと思います。

Oさんは「南岳にトレランシューズで行ったの」ですか。
どうでしたか?
去年俺が南岳に行った時には天狗池までnikeのトレランシューズで行ったのですが、それはソールが柔らかかったのか?ちょっと疲れが多く出たような感じでした。固いソールの本格的なものなら大丈夫なのかな?と履いている方に訊いてみたかったのですが…。

ところで、「南岳にトレランシューズ…」は全然恥ずかしくないでしょう。
奥穂〜西穂でも、そういう方がいらっしゃいましたよ。
あくまでも俺の価値観ですが、足がちゃんと保護できるなら(疲れが出難いといった意味も含めて)地下足袋でもいい!と思っているくらいですから…。
ちなみに、表妙義にはトレランシューズで行きましたけど、特別問題はありませんでしたよ。
Commented by hyahya at 2007-10-16 18:20 x
(大変遅いコメントですが)
雨の中の下山、(そしてレポ作成も!)お疲れさまでした。
足は本当に辛かったですね。
次のバリエーションに向けて(?!)良い対策ができますように。

私も下山時、天狗池の先で水の流れる音に気づき、驚きました。
何度も通っているのに、初めて気づいたことに…
なので、寅次郎さんのレポートを読んで
(鈍いな、私…)と再び自分で突っ込んでみました。
足もとの岩の下をサラサラと流れる水の音。
同じ場所だと思います!
Commented by torajiro-joshu at 2007-10-16 20:38
>ひゃあひゃあさん、こんにちは。
どうもありがとうございます。
ひゃあひゃあさん、masterさんもお疲れ様でした。

雨の中の下山、辛かったですね。
足は本当に痛かったです。
泣きそうになりました。(半分位!?本当かな。笑)
「次のバリエーション」!?
う〜む…。ちょっと心が動きますね。
そういうのももありか!と最近は再び思いますね。(笑)

ひゃあひゃあさんもあの水の音に気付きましたか!?
やっぱり、初めて!?
じゃあ、普段は気付かないのかもしれませんね。
きっと、雨の時などの水量の多い時に音がよく聞こえるのでしょう。
我々が鈍いのではない!ということにしておきましょう。(笑)
Commented by あひる at 2007-10-17 00:23 x
早い・・・体力充分ではないですかー(^^;。  足痛めてこのコースタイムとは・・・masterさんの言うとおりスピードスターですね。 横尾~上高地間も特急ですね・・・あひるはだいたい疲れきっているので、超各停状態で、最近は道沿いの地形を見ながらユルユル歩いています・・・(←根性なし)  レポートは興味深く読ませて頂きました。雨なら雨の良さがありますが、足のせいもあり寅次郎さんはキツかったようですね。本当にお疲れ様でした。
来年辺りはどこかでお会いしそうですね(^^)
Commented by torajiro-joshu at 2007-10-17 21:40
>あひるさん、こんにちは。
ありがとうございます。辛かったです…。
本当、いっぱいいっぱいでした…。
かなり無理しましたよ。
歩くも地獄、止まるも地獄といった感じだったので、仕方なく、
横尾〜上高地間は止まらずに歩き続けました。

一泊二日だから良かったものの、それ以上長い縦走だったら…、
エスケープ・ルートが無かったら…とゾッとします。

来年あたり、本当にお会いしたいものです。
その時はよろしくお願いします。
by torajiro-joshu | 2007-09-30 23:59 | 山歩き | Comments(12)

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu