寅次郎がゆく!

toragayuku.exblog.jp
ブログトップ

さよなら、ジュリア…。

運転手の俺はA動物病院前に車を横付けにして、
一刻でも早く、両親と妹をジュリアに会わせようとした。

車を駐車場に停め、追い掛けるようにして院内に入ってゆくと…、
妹の泣き叫ぶ声が聞こえた…。
そして、父と母のすすり泣く声も聞こえてきた…。

ジュリア…



ジュリア…ジュリア…。
……。

苦しそうに目を剥き、舌を出したままの、
もう動くことのないジュリアがそこにいた…。
その姿も直に霞んで、よく見えなくなった。

ウチら家族の声が、院内で響いた。
けれど、叫んでも叫んでもジュリアは動きはしない…。

ジュリアの姿を囲む家族を、病院のスタッフのおねーちゃんが
所在無さげに見ていたように思う。


午前中、ずっとずっと獣医からの連絡を待っていた。
けれど、連絡はないので持ち直したもんだとばかり思っていた。

それに何度も問い合わせる(と言ってもせいぜい一日に1〜2回だ!)と、
A獣医はキレることがあるし、前日に「来てもいいですけど、
ワンちゃんの命の保証はしませんよ。興奮して、
それが原因で死んでも構わないならいいですよ」等と言われているので、
こちらも黙って連絡を待っていたということもあった。

いくらロクでもない、人間性の欠片もないA獣医でも
治療に全力を尽くすだろうし、連絡くらいはちゃんとすると思っていた…。

結局、午前中には何の音沙汰もなかった。

どうしただろう?と家族みんな心配していた。

蒸し暑い午後、重苦しい空気が流れる。
そんな中で、ジュリアの処遇について、
家族でもう一度じっくり話しあった。

A獣医はトンデモないことを平然と言うし、全く信用できないので、
やっぱりジュリアを連れ帰ろうということになった。

ジュリアを連れ帰る支度をしていた時、”16時を過ぎると間もなく”
電話が鳴った。

イヤな予感がした。

母は電話に出られず、俺が出た。

「危篤です。ジュリアちゃんが危篤です」と、
またしてもAは事務的に、抑揚のない声でノタマった。

じゃあ、すぐに行きます!と俺が答えると…、
またしてもAはトンデモないことを言った。
「来てもいいですけど、ワンちゃんの命の保証はしませんよ。
興奮して、それが原因で死ぬかもしれませんけど…。
私は責任を取りませんよ」とまたまたノタマいやがった。

俺の怒りは沸点に達した。
それが命をあずかる者のいう言葉なのか!
心ある人間のいう言葉なのか!と…。

バカと取り合っていても仕方ない。
事態は一刻を争っている。
電話を切り、両親と妹、俺はすぐさま車に乗り、
高崎に向けて急いで車を走らせた。

俺は決して望みを失っていなかった。
きっときっとジュリアは家に帰ってこれると信じていた。
また元気になれる!
そして、少なくともあと2〜3年は一緒に暮らせると信じていた。

けれど…もし万が一のことがあったとしたら、
最後は家で、家族みんなで看取ってやろう…と思っていたのも事実だった。

とにかく、早くジュリアに会いたい。
その一心で車を走らせた。

可能な限りスピードを出したけれども、高崎は遠い…。
高崎でも東の方、江木だか大類だか高関だかわからんけれど、
やはり高崎は遠い…。

間に合わなかった…。
その遠さもアダとなった…。


寂しかっただろう…。
悲しかっただろう…。
辛かっただろう…。
ごめんな、独りにして…。
ごめんな、昨日連れて帰ってやれなくて…。
ごめんな、ジュリア。
ごめんな…。
ごめんな、最後の日に独りにしちゃって…。

とめどなく涙が溢れた。
家族みんな泣いていた。

A獣医は出てこない。
姿を全く現さない。
どうしたのかとスタッフのおねーちゃんにたずねると、
「猫を手術しているんです…」との答え…。
あくまでも出て来ないつもりだったようだ。

父と妹は泣きながら、ジュリアを抱いて院を出た。
崩れ落ちそうになる母を支えながら、俺は会計を要求した。

すると、おねーちゃんは「まだ計算してないんで…」と
ハッキリとした態度を見せない。
けれど、俺達だって、もう、こんな畜生の所には来たくない!
じゃあ、すぐ計算して下さい!と俺は言った。
「う〜ん、でも…」とおねーちゃんは同じ態度のまま。
何度も要求してはじめて、おねーちゃんは動いた。

そこでやっとAは姿を現した。
「さっき家に電話したんですが、4時35分頃に亡くなりました…」
ほんの少しバツが悪そうな顔をしただけで、
またまた事務的にAはそう言った。
「結局、心臓が悪かったようです。それで…」
「計算はしていないので後日連絡します」
そう言って、その場での会計はしなかった。

7分遅かった…。
せめて、あと7分早ければ…。

Aのツラを見た時、俺はヤツを殴りたい衝動に駆られた。
いつもテキトーなことばっかしやがって!と。

「結局、心臓が悪かったようです。それで…」とは何だ?
「肺水腫」だってテメーで診断して、”心臓に負担がかかる”肺水腫を防ぐ
点滴をしといて、それで最後には「心臓が悪」くて死んだってか?
それはアンタの診療ミスが、ジュリアの心臓に多大なダメージを
与えたんじゃねんかい!?
その点滴の過剰投与が原因じゃねんかい!?
「興奮して、それが原因で死ぬ」んじゃなくて、
テメーのミスと怠慢でジュリアの命を奪ったんじゃねんかい!?
近所のワンちゃんが死んだ時だって、アンタのミスだろ!
休憩時間だからってノンビリしてたら、その間にジュリアの
容体が急変したんじゃねんかい!?
休憩はもちろん大事だけどな、テメーで「重体」って判断したんなら、
ノンビリ休んでいるなんておかしいんべに!
せめて診察室で休めよ!
犬や猫は喋れねんだから、容体の急変を人には教えられねんだよ!
アンタは消え入りそうな命をあずかってたんだから、
それにたいして責任持てよ!
ジュリアが死んでから7分の間に死因を特定して、
更には猫の手術によくとりかかれたな!
7分の間にジュリアの死因を特定して、亡骸をケージに戻して、
それから猫の手術って、そんなに迅速に出来るのか?

ヤツのツラを見た時、怒りや疑念が一気に噴出した。
本当に、カウンターの向こうのヤツを引きずり出したかった。

おそらく、Aは顔を出したくなかったんだと思う。
それは自らのミスと怠慢がジュリアの死を早めたからだ!
それを自覚しているからこそ、計算もしてなかったし、
実際5年経った今でも請求してこないのだと思う。
いつもそうだったが、Aから連絡があるのは通常の診察時間のみ。
休憩時間には絶対に連絡はよこさない。
ジュリアが危篤だという連絡をよこしたのも16時過ぎ。
それまで、少なくとも”重体”であった筈のジュリアを放っておいた。
そして、それが原因で、結果的に死を招いた。
(診療ミス→誤った薬の過剰投与→心臓にダメージ→死亡 だろ!)
だから、猫の手術とか言って、
俺達と顔を会わせることから逃げようとしたんだと思う。

俺は今でも、不穏な言い方かもしれないけど、
高崎のA藝動物病院のA藝にジュリアは殺されたのだと思っている。
その何よりの証拠が、未だに金の請求をしてこないことだろう。
後からわかったことだけど、ベラボーに高い診療費(他所の2倍以上!)を
取っていたAが、未だに請求してこないのはおかしい。
それは、消極的態度で、自分の責任を認めたからだと思う。
(或は、俺に反論されるとでも思ったか?)
それを裏付けるかのように、ジュリアが亡くなった年の末、
Aの妻が「主人からジュリアちゃんが亡くなったことを聞いて…、
すごくジュリアちゃんを可愛いと思っていたので…」等と
訳のわからない理由で、植木なんぞを家に持ってきている。
(別にAの家とウチに繋がりがあるわけでもない!)
それはダンナのミスを、カタチを変えて、謝りにきている
のだと俺の目には映った。


ジュリアを乗せて車を走らせると間もなく、
雷鳴が響き、雨が強く降り始めた。
前方がよく見えなかったのは、その豪雨のせいだけじゃない…。

父も母も妹も俺も、誰もが号泣しながらジュリアの亡骸とともに帰った
あの夏の日を俺はずっと忘れることはないだろう。

悲運の死を遂げたジュリアは大事な大事な家族の一員だった。

ジュリア、ありがとう。
お前と過ごした日々は本当に楽しかった。
俺が死んだ時に、また向こうで会おうな。
今はさよならだけど…。
[PR]
Commented by yumidesu1009 at 2007-08-16 21:45
辛かったでしょうね・・・
その当時のご心中お察し致します。
こんなにも愛された、ジュリアちゃんはきっと
千の風になって、寅次郎さんのところへ柔らくて温かい風を運んでくれますよ。
Commented by torajiro-joshu at 2007-08-16 22:09
>ゆみ姐さん、こんにちは。
あたたかいお言葉、ありがとうございます。
それ以外に申し上げられる言葉はありません。

本当に…あの時は辛かったです…。

表現上適切かどうかわかりませんが、犯罪被害者或は医療ミスの被害者の家族と同じ気持ちを味わったのではないかと思っています。
ジュリアは本当に大事な家族の一員でしたから…。

今は、家には三頭のパグがいますが、ジュリアのことは忘れることはありません。
きっといつまでも僕らのそばにいるのかもしれませんね。
あたたかい言葉をかけて下さる方達のお蔭で、今はそんな風に思えます。
by torajiro-joshu | 2007-08-12 23:59 | 愛犬(パグ) | Comments(2)

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu