寅次郎がゆく!

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表妙義、再び…

晴天の中の紅葉を楽しみに表妙義縦走に行くことにした。
ここは約2週間前、中学生4人の遭難騒ぎがあったところだ。
かなりの難コースであるとはいえ、ゴールデン・ウィークに続き
2回目なので、気持ち的にはかなり楽である。

道の駅妙義に駐車して、登山口に向け歩き出すと、不穏な動きをする
ケービインが俺の方に向かって来た。
ケーサツやケービインの類が好きじゃない俺は目を合わさぬようにしていたが、
どんどん近寄って来た彼は「登山者は向こうの駐車場に停めて下さい」という
ようなことをいった。
再度言うが、ケーサツやケービインの類が好きじゃない俺だけれども、
仕方なく、大人の対応で、彼の言うことに従った。




妙義神社の境内を抜け、登山口に取り付く。
登山口にあるポストに登山届けを出す。
熊注意というような看板がここにもある。
熊除けの鈴だけでは心許ないので、iPodでmihimaru GTの曲を
ガンガンに鳴らし、いざ出発。

最初はポストで顔をあわせたおじさんと話しながら歩いていたが、
次第に見えなくなってしまった。
ノリのいいmihimaruの曲が俺のペースを、
知らぬ間にアップさせていたのかもしれない。

晴れ予報の天気は嘘のようにずっと霧がまいていた。
大の字の手前の鎖場の道は濡れていて、滑りやすかった。
今回はなるべくフリーで登るという自分の中の決めごとは早くも破られた。
滑りやすく長い鎖場の坂を登ると、そこは大の字と相馬岳の分岐だ。

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大の字に登ってはみたが…、何も見えない。
そそくさと下りて、上に向かうことにする。

奥の院の手前で下山者とすれ違う。
一人は靴のソールが剥げてしまったそうで、あえなく下山。
もう一人は上に登っても何も見えないし、岩が濡れていて、
滑りやすいので下山とのこと。

奥の院の鎖場をフリーで登ってみる。
登れることは登れるが…、鎖を補助的に使って登った方が
早く登れるような気がした。
複雑な気持ちだった。

鎖場を過ぎ、落ち葉の多くなった道を少し登ると、
縦走路の尾根の取り付き、見晴らしに出る。
見晴らしからは名前の通り…とはいかず、何も見えなかった。
晴れていれば、近景に裏妙義、遠景に浅間が見えるのだけれど…。

天気予報は一向に当たる気配すら見せない。
そうなると、この縦走路で一番の鍵となる危険な岩場は
このままウェット状態かもしれない。
また、ところによっては岩の上に落ち葉が積み重なり、
足場が見えにくく、歩きにくいことが予見されるので、
前回よりも注意を要するだろう。
しかし、これ以上の天気の悪化→雨はないと思われたので、
鎖迄濡れて滑るということはないと判断し、進むことにする。

見晴らしから相馬岳方面に向かう時、一瞬だけ青空が覗いた。
しかし、ほんの僅かの間だけで、俺等登山者の期待はアッサリと
裏切られ、この後、青空を見ることはなかった。

時に湿った落ち葉を踏みしめ、時に岩場を越え、
時に岩の間をすり抜け、黙々と歩いてゆく。

道が湿っている為、多少の歩きにくさは感じたが、
先日の中学生の遭難騒ぎの影響でルートを少し整備した
(マークをハッキリさせた)らしく、春よりもその点では
楽になったと感じた。

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大ノゾキ。
ガスっていて、何が覗けるのかよくわからない。
晴れていれば、キレットが覗けるということか?

30m程の長い鎖場を下りると、キレットとなる。
そこから樹林の中を登ると天狗岳に着く。

天狗岳の道標の写真を撮ろうと思ったが、
ザイルを手繰っているオッサンがその前に腰を
ドカッとおろしたまま退いてくれる素振りを一向に見せないので、
諦めてボロい方の道標を写真におさめた。
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天狗岳頂上。頂上はあの絶壁が全く感じられない程穏やかだ。

タルワキ沢手前で先行する3人のパーティに追い付く。
良くみると中学生で、正規のルートでない湿った小さな岩場を
無理に下り、俺の前で滑落した。
ジャージは泥だらけになっていて、何度も転んでいることは明白だった。
不審に思い、声をかけてみる。
3人のうちの2人の少年と話す。
「君達3人だけで来たの?」
「はい、そうです」
「すごいね。山の経験はあるの?」
「いいえ、ないです」
「えっ、ないの!どこ迄行くつもりなの?」
「う〜ん…」
「ここで、この間、中学生が遭難騒ぎを起こしたの知ってる?」
「はい、知ってます。この先進めないですかね?」
「無理だと思うよ。ここは上級者コースって看板に
書いてあったの見なかった?」
「見ましたけど…、先に行けないですかね?」
「ここから(中間道に)下山できるし、先日、相馬岳から中学生は
道に迷って遭難したらしいから、ここで下りた方がいいと思うよ」
「そうですか…」
「脅すわけじゃないけど、このコースでは毎年のように死者がでてるし、
今年に入って2人も死んでるんだから、やめた方がいいと思うよ」
「そうなんですか!」
「この先はもっと危険な所があるし、鷹戻しなんて本当に危険だから、
ここで下りた方がいいと思うよ。このコースは上級者でも本当に上の方、
言わば超上級みたいなもんだから、初めて山に登るんなら、
行かない方がいいと思うね」
「そうですか…、じゃあ、やめておくか」
二人の少年はこのコースの危険性について納得し、タルワキ沢から
中間道に下りることを決めたようだった。
それが不満だったのか?話の一部始終を聞いていた”リーダー風情”の
ショーネンが俺に反論した。
「上級より上の超上級なんて本当にあるんですか〜?」
言葉は割と丁寧だが、俺に対する反感の気持ちが、
眼鏡の奥で見え隠れしていた。
事実、俺よりも前に位置を取り、俺が歩けば、自分も歩く、
先に歩いてやるという体勢でいた。
「あるよ。ここは本当に厳しいコースなんだ。仮に相馬まで
行ったとしても、その先は本当に行かない方がいいと思うね」
俺はそう言ったが、それでも納得せず、自分は絶対に行くんだ!
という雰囲気を漂わせていた。
2人の少年は道標の前で休んでいる。
どんなに言うことをきかないヤツでも、まさか別行動は取るまいと思い、
これ以上言うことを避け、先に進むことにした。
すると、意外というか…案の定というか…、俺より先に歩き始め、
相馬岳に向かった。2人の少年に何も言わず、置き去りにして…。
そのショーネンの背には『絶対にアンタの言うことはきかねぇかんね。
それに絶対前を歩かせねぇかんね』と書いてあった。
呆れた俺は、とっととショーネンを行かせることにした。

やめた方がいいと言うことはできても、やめさせることはできない。
正直に言って、もう好きにしろ!と思った。

彼等の行動に対して、冒険したい年頃だから…等と擁護する人間もいよう。
冒険したい年頃、それは俺にもわかる。
そういう年を生きたこともあったのだから。
けれど、一つだけハッキリさせなきゃいけないことは、
”冒険と無謀とは全く違う”ということ。
当たり前だが、このことが全くわかってない人間が多いように思う。
冒険とは用意周到な上に成り立ち、闇雲に突っ走ることではない。
何の準備もしない、何の経験もないのに、根拠のない
自信(若者にありがちだけど…)だけで闇雲に突っ走る。
それは正に無謀ということ。
たとえ登山初めての人間が、先日の中学生が遭難した所を無事に
歩けたとしても、それは結果論でしかない。
無事歩けて良かったね、であり賞賛とはかけ離れたことだ。
ステップ・アップする面白さというものもある。
無理な登山による遭難はなくなってほしいものだ。
遭難は自分の家族だけでなく、救出する方々にも多大な
迷惑がかかるのだから。

タルワキ沢から相馬岳へはゆっくり登っていった。
相馬岳頂上まであと少しの所で、金洞山方面より来た登山者と話す。
やはり鷹戻しは少しウェット状態のようだった。

話している脇を、さっきのショーネンが通りすぎてゆく。
相馬岳の頂上で引き返したようだった。
もうちょっと色々な経験積んでから来いよ!
まだ君等は中学生と若いんだから。

相馬岳の頂上ではクライマーのパーティが休んでいた。
なんとなく閉鎖的な雰囲気を感じ、離れたところで休んだ。
頂上からはやはり展望は望めず、鷹戻しさえ見えなかった。

相馬岳からは急な下りで、途中少し水が流れる沢を渡渉する。
鎖や岩を掴んで汚れた手を洗う。
飲んでみたいところだったが、なんとなく不安だったので、
やめておいた。
一気に下った後、小さなアップ・ダウンを何度も繰り返す。

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岩の間から鷹戻しがシルエットを現す。
何度もあるアップ・ダウンに嫌気がさしていたが、
少し元気がでる。

少し休みたいと感じたので休もうと思ったが、
鷹戻し迄はあと少しの筈だし、かといって鷹戻しの取り付きで
休んだら体が冷えてしまって、長い鎖場をクリアするのに支障を
きたすし、やっぱり鷹戻しを登り切ってからかなぁ等と考えながら
歩いていると、鷹戻しの取り付きにきていた。

鷹戻しは梯子から始まる。
梯子を昇ると長い長い鎖場が続く。
一人なら途中で好きに休むことはできるが、
常に片手は鎖を手にしていないと危ない。
前回よりもゆっくりめに登る。
景色を愛でようとするが、相変わらずの天気で、
登って来た山さえもろくに見えない。
長い鎖場を登り終えると、トラバースが現れる。
長い鎖場の登りの岩はドライ状態だったが、
トラバースの足許は濡れた土の道となっていた。
落ちたら助かる見込みはないので慎重に横切る。
鷹戻しの登りは終わった。
軽く休む。
相変わらず天気は良くないものの、下の方から声が聞こえるので、
石門方向を見下ろすと、”天狗の評定”付近にパラパラと
人の姿が見えた。
楽しそうな雰囲気だった。

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金洞山方面を望む。
今日歩く山くらいはなんとか見えた。

軽い休憩の後、歩き出そうとすると、左膝の上の筋肉が
ブルブルいっている。
足がつるのか!?
こんなところでつったらマズい。
まだ垂直に近い岩場の下りがあるんだし…。
それにしても…、今迄山で足がつったことなんて
ただの一度もないのに…。
塩分が足りないのかと思い、母が作った小さな梅干しを
三粒急いで口に入れた。
ついでに水分も更に補給した。
それが功を奏したのかどうかわからないが、
それ以後足に違和感を感じることはなかった。

鷹戻しからの下りは案外困難だ。
ものすごく太い鎖のある岩場はほぼ垂直だし、
距離は長くはないものの、個人的にはこっちの方が嫌らしさを感じる。
慎重に下りて、相変わらずのヤセ尾根を歩いていくと、
間もなく第四石門へと下りる分岐に出る。
ここはホッとできる場所だ。

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石門方面がうっすらと見える。楽しげな声が終始聞こえていた。

分岐で一息入れて、縦走を続ける。
ここから先の中之岳までも、距離は短いが困難な道が続く。
ヤセ尾根は今迄と同じだが、こっちはヤセた尾根の脇に木が
生えているところが少ない分、ダイレクトに高度感を感じる。

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縦走路の途中には卵型の岩がある。
その脇を通り抜けたり、かなり細い、意外とも思えるヤセ尾根上
直進というような感じのルートを取る。

すると直に、小さな祠のある中之岳の頂上が現れる。
この頂上からも、天気が良ければ360°の展望が望める
筈だったが…。

頂上からはシッカリと取り付けられた新しい鎖を使い下降する。
その後トラバース気味に下って、間もなくすると西岳とのコルだ。
縦走はここで終わり。
ここで針路を左に取る。
左右に圧迫感を感じる鎖場を下り、その後は急な土の道を
一気に下る。
中之岳神社と石門広場への分岐を石門広場方面に取って、
石門広場に寄ってみる。

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石門の中に大砲岩が見える。

石門広場付近の紅葉はまだ少し早いみたいで、
訪れる人もそれほど多くはなかった。

なんとなく賑わいの中に入るのがイヤで、
写真を撮っただけで下山する。

岩でできた道をリズムよく下っていくと、すぐに車道にでた。
ここからはほぼ車道歩きだ。
途中で靴を履き替え、ひたすら歩く。

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車道脇で沢蟹に遇う。
お疲れ様と握手を求めて来た!?

駐車場に着いても相馬岳や天狗岳は霞んで見えているだけだった。

誰だや!?
天気予報で、土曜は天気がいい!って言ったんは…!
誰だや?誰?
あっ、市川さんですね!
なら、いいんです。
天気なんか良くても悪くても。
外れることもありますしね。
いや〜、墨絵のような妙義もなかなかオツなもんでしたよ。
と、下らないオチをつけて終わりにします。(笑)

再びの妙義は、無事であったからこそ、こんなオチが
つけられるのです。
ここは一歩誤れば死に直結する場所がたくさんあるので、
安易に入らないよう注意して下さい。



コース・タイム
道の駅妙義(-/9:39)〜妙義神社上の登山ポスト(9:45/9:53)〜
大の字(10:14/10:17)〜中間道との分岐(10:26)〜奥の院(10:33)〜
見晴らし(10:46/10:48)〜天狗岳(11:23/11:25)〜
タルワキ沢分岐(5分休憩)〜相馬岳(11:48/12:00)〜堀切(12:42)〜
鷹戻し取り付き(13:08/13:10)〜鷹戻し上(13:18/13:25)〜
第四石門との分岐(13:41/13:45)〜中之岳(14:02/14:08)〜
中之岳・西岳のコル(14:12)〜登山ポスト(14:21)〜第四石門(14:24)〜
石門巡り取り付き(14:30)〜道の駅妙義(15:22/-)
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by torajiro-joshu | 2006-10-28 21:55 | 山歩き | Comments(0)

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu