寅次郎がゆく!

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南岳〜西穂縦走(上高地〜天狗池〜南岳小屋)

17年振りの槍・穂高、11年振りのアルプス縦走だ。
思えば17年前に上高地〜槍ヶ岳〜奥穂〜前穂〜上高地と縦走した時、
いつかは奥穂〜西穂!と思ったんだよなあ…。
あれから17年…。
バス・ターミナルの周辺は綺麗になり、河童橋は架け替えられたけれど、
穂高は静かに、気高き姿のまま佇んでいた。
あの時と何も変わらず…。

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初秋の空気に包まれた中に鎮座する穂高と河童橋。




今回の最大の目的である奥穂から西穂へと続く稜線を見て、気が引き締まった。
なにせ11年振りの縦走である。
それに…。
これ迄全然運動してこなかったとか、山にも登らなかったというわけではないが、
一般登山道最難関ルートと言われるこのコースを歩くにあたって、17年前の
キレット越えから技術的にも体力的にも目立った進歩を遂げているとは
思えなかったからだ。

いつもより人の少ない河童橋を抜けて、横尾方面に向かう。
小梨平でキャンプをする人の姿はほとんど見受けられない。
ダラダラな林道を早足で歩く。

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明神岳が綺麗だ。登山者の領域に入ったのだと感じさせる。

徳沢はかなりの人で賑わっていた。
キャンパーの姿も多い。
草地のテント場で気持ちいいよなぁ。

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横尾まで来ると完全に登山者の世界だ。上高地にいるよりもホッとする。

徳沢から横尾に向かう途中で、先行する年配の人が手袋を落とした。
気付かずに歩いていきそうになったので、すぐに拾って、
渡してあげたのが縁で、横尾まで話をしながら歩いた。
松本に単身赴任しているというその人は、とてもパワフルな人で、
毎週のように北アルプスを歩いているという。
登山を始めて4年位というが、小屋泊まりで西穂〜奥穂往復もしたとか。
奥穂〜西穂のアドバイスをいただく。
その人は槍への道を急ぎ、俺は横尾で休憩することにした。

軽く休憩を取り、再び歩き出す。
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一ノ俣手前の槍見河原まで来ると、槍の穂先がはっきりと見えた。
嬉しくなって、道を急ぐ。

槍沢ロッジに到着すると、さっきの人が!
昼飯を食べていた。
ここでまた少し話をする。
腹がすいたので、自分もここで昼飯とすることにした。
と言ってもバウムクーヘンなんだけど…。
あんまり昼飯ぽくないなあ…。(当たり前か!?)

松本在住の人は、ここで登山靴に履き替えていた。
自分はどうしようか迷ったが、まだトレイル・ランニング・シューズで行くことにした。
先に槍方面へと向かっていったその人が戻ってきて、
ロッジの望遠鏡から槍が見えることをおしえてくれた。
槍もまだまだ遠い!

松本在住の人に追い付こうと、槍沢ロッジを立ったものの、
ここからペースがあがらなくなった。
ババ平へもなかなか着かない。
おまけに普段は痛くなることはまずない右足首まで少し痛くなってきた。
足が思ったように前に進まない。
水分はちゃんと補給している筈なんだけど、顔から塩がふいている。
脱水症状なのかなあ?それともシャリ・バテなのかなあ?
ちょっとツライなあ…と思ってるところでババ平に着いた。

沢渡に来る途中でコンビニに寄らなかったことを後悔した。
コンビニが混んでいたので、寄らなかったのだ。
おにぎりくらい買ってくれば良かった…。
カロリーメイトやバウムクーヘン等の行動食を余分に持ってきたので、
それで大丈夫と思ったものの…、やっぱりもうちょっとしっかり食べられる
物の方が良かったなと思った。普段なら、それらでも大丈夫なんだけど、
今回は朝飯を食べてなかったからなぁ…。

体調を回復すべく水分補給し、あわせて梅干しから塩分も補給した。
早く、いつも通りに動けるようになればいいんだけど…。

体調は下がり目だったけれど、この先には水場はないので、
全部で6リッター分の水を補給し、担ぎ上げることにした。
ザックが少し重くなった。

槍沢沿いの緩やかな道を更に進む。
先行する人達、下山する人達の姿が緑の中にチラチラと見える。
17年前の夏、あれは8月の上旬だったけれど、冬に降った雪が多く残っていて、
ババ平から先はもう大雪渓になっていたように思う。
あの時の記憶と実際に見ている槍沢のギャップが大きすぎて、
初めて来た場所のような感覚にとらわれた。

快調とは言えぬ状態で2200m付近まで来ると、
ようやく雪渓を間近に見ることができた。
ババ平から先の道は日陰が少なく、雪渓まで下りて休んでいる人もいた。
俺は道沿いに小さな木陰を見つけて、雪渓を眺めながら休憩することにする。
そこで休んでいると、下山してきた”おばちゃんパーティー”が口々に
「あら、いい所で休んでいるわねぇ〜」等と声をかけてきた。
それだけ、日陰が少なく、貴重ということだろう。

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一踏ん張りすると、漸く天狗原分岐に着いた。
針路を右に取れば槍ヶ岳、左なら天狗原だ。
天狗池の逆さ槍は「今日はバッチリだよ」と下山してきた女性がおしえてくれた。
時間があれば天狗池まで往復し、槍ヶ岳経由で南岳小屋泊まりでもいいのだが、
ここを13時で、そんなことはできまい。

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天狗原を左に折れると岩礫が多くなり、チングルマの花柱が揺れていた。
遠くから槍がその姿を覗いているようだった。

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チングルマの草原となっていた。
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槍の穂先の脇には黄色い花が咲いていて、
槍と高さを競う打ち上げ花火のようだった。

チングルマの草原に見とれていたわけではないが、
ルートを外してしまった。
気付くと先に道はなく、ガラガラの斜面の上を登山者が歩いていた。
なんとか登れそうなので慎重に登っていった。
正規のルートに戻り、不安な気持ちの中少し歩いていくと、天狗池が見えた。

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写真で何度も見た”逆さ槍”の姿がそこにあった。思ったよりも池は小さかった。

誰もいない天狗池は水面に静かに槍を映し、
そこに聞こえるのは風の音だけだった。
時間が遅いのが幸いし、そこにいるのは俺独り。
素晴らしき景色を独り占めにした。
ずっとずっと見ていたい気分だった。

天狗原は、大きな岩ばかりで、浅間の”鬼押出し”を
更に大きくしたような感じだった。
これを氷河が押し出してきたのかと思うと、
氷河の凄まじいパワーをまざまざと感じた。

天狗池でやっと靴を履き替えた。
すると足首が安定し、歩きやすくなった気がした。
もっと早く履き替えるんだったと思った。

まずは横尾尾根を目指した。
大きな岩塊の中を縫うように一歩一歩歩いていくと”野球場”が現れた。
まだまだ横尾尾根のコルにはもう一登りしなければならない。
ため息をつきながら尾根上を見上げると、逆光の中に人の姿が見えた。
少し萎えていた気持ちがパワーを取り戻した。
正直言って、天狗池まで来てはみたものの、『本当に南岳小屋まで
行けるんだろうか?』と少し不安になっていた。
いつまで経っても一向に調子があがらなかったからだ。
でも、これで小屋まで辿り着ける勇気が湧いてきた。

横尾尾根のコルまで登ると、屏風岩と穂高の山並が眼前に迫ってきた。
本谷カールも綺麗に広がりを見せていた。
左を見れば屏風岩・穂高、右を見れば槍が笑っている。
南岳へと続く稜線までは標高差300mを切った。
素晴らしい景色にも励まされ、爽快な気分で登ってゆく。

天狗池からちょいと頑張ったので、2800m付近で軽く休む。
雲が出てきてしまった。風が体を冷やし、少し寒い。
チョコを少し口にいれ、すぐに歩き出す。

梯子や鎖が現れ、槍〜穂の稜線分岐まで近いことを感じさせる。
「オツカレサマ」、そこが分岐だった。
疲れたよ!(笑)
漸く槍〜穂の稜線に出た。

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槍〜穂の稜線分岐。恥ずかしそうに!?槍は姿を隠してしまった。

ここまで来れば、南岳小屋はすぐそこだ。
南岳頂上で、先行する登山者にやっと追い付いた。
登山者は単独行の女性だった。
追い付けそうだけど、なかなか追い付けなかった。
しっかりとした足取りですごいな〜!と思った。
その女性にシャッターを切ってもらった。
その一枚がその日唯一の自分が写ってる写真だった…。
単独行って、こういうところがツライんだよなあ。

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再び槍が姿を現す。東鎌尾根の向こうには北鎌独標も見える。

天気に恵まれ、無事に南岳小屋に到着。
16時過ぎと到着が遅かった為、喫茶タイム!?はとっくに終わっていた。
残念…。
その代わりに、夕食まで時間があったので、セルフ・コーヒーとドーナツをいただく。
空腹にドーナツの味がしみた。

夕食前、獅子鼻に遊びにいく。
北穂と、それに連なる大キレットがすごい迫力だった。
正に”南岳劇場”!
その迫力は17年前となんら変わっていなかった。
あの時必死だったであろう自分の姿を思い出し、
すごく懐かしい気分になった。

南岳小屋自慢の心尽くしのおいしい夕食をいただいた。
本当にとてもおいしかった。
また、合席になったカップルや単独行の女性の方との
山の話もとても楽しかった。

夕食後、再び獅子鼻へ。
ガスってしまって穂高は全く見えなかったけれど、
粘っていると…、一瞬だけ穂高はその姿を現した。
夕日は見られなかったけれど…、
今日一日天気に恵まれたのだから、これでよしとしよう。

消灯前、明日の天気予報を見にいった時に、
念願の”手ぬぐい”を自分へのお土産に買った。
これから、山小屋オリジナルの手ぬぐい集めが趣味になりそうな予感。(笑)



2日目へと続く

         
コース・タイム
上高地[河童橋](-/8:00)〜徳沢(9:05/9:12)〜横尾(9:50/10:00)〜
槍沢ロッジ(10:53/11:03)〜ババ平(11:27/11:44)〜
槍沢2200m付近(12:23/12:35)〜天狗原分岐(13:00/13:18)〜
天狗池(13:55/14:10)〜横尾尾根2800m付近(15:11/15:19)〜
槍・穂稜線分岐(15:45)〜南岳頂上(15:56/15:58)〜南岳小屋(16:03/-)
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by torajiro-joshu | 2006-09-02 22:05 | 山歩き | Comments(0)

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


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