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寅次郎がゆく!

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船窪小屋へ…。(2日目)

昨夕から吹く風が、夜通し小屋の窓を、壁を叩いていた。

夜中に目が覚めて、窓から空を眺める。

コンタクトを外しているのでハッキリはわからないものの、
夜空いっぱいに星が散りばめられた様子が見てとれた。

明日は天気が期待できよう。

ふたたび眠りについた。
と言いたいとこだが、日付が変わってからは眠ることができず、
うつらうつらするだけだった。

3時半過ぎくらいだろうか?
スタッフが朝食の用意をするのと同じくして、
俺も起きる。

コンタクトをつけ、未だ暗い空を眺める。
夜中に小屋から見た時よりは幾分もやった印象を受けたが、
それでも素晴らしい星空が待っていてくれた。

朝食の準備ができたので、配膳を手伝う。

風はあるものの、晴れているので、どのお客さんもみんな笑顔だ。

お客さんの朝食が済んだ後、小屋のスタッフと一緒に朝食をいただく。
ワシワシ食べて、午前中の作業に備える。

今日は、船窪乗越手前の崩壊面上のルートの裏側に新規ルートを
つける為の準備で、下草刈りと倒木等の伐採である。
そして、その帰りに水場で水を汲んで帰る。
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作業場の上からは素晴らしい展望が広がっていた。



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今日は、この崩壊面の上のルートの更に左の、
安全な側に新規ルートをつける為の作業。

陽射しは強いものの、日陰で、また風も少し吹いている為、
比較的楽に作業ができる。

それにしても、新規ルートを作る手間ってのも凄く大変だと感じた。

まずはルートの選定に始まり、下草刈り、倒木等の伐採。
その後、ちゃんとした、登山者が歩けるルートを作るわけだが、
今回、その作業は斜面をトラバースするように作る為、
常に谷側に向け踏ん張る状態を強いられる。
そして、それが結構急なもんだから、気を抜くことはできない。
転がって落ちても、下の樹々に引っ掛かるだろうけど…。
多分…。

おさんぽさん曰く、「登山者の安全を第一に道を作るには、
どうしても作業は危険にならざるを得ないんだよね。一番いい、
フラットなところをルートにするには…」

なるほど、そうだと思った。

一番いい、フラットな面を作り出す為に、
それより危ういとこで作業する。

一番いい場所を足がかりにしたら、一番場所が無くなっちゃうもんな。

もしそれを足がかりにするとしたら、作業が大規模になり、
労力は更に必要となるだろうから、少ない、限られた人数で、
安全なルートをなるべく早く作るには、その方法がベストなんだろうと思った。

何気ない登山道に、多くの人の労苦や思いが込められている
ことを改めて知った。

ありがたいという他に、言葉が見つからない。

同じ男ながら、おさんぽさんがまぶしく見えた。
そして、今日ここにはいないけれど、いつも作業をしている、
道しるべの会の人達の存在も同様に思えた。

俺も、自分の山歩きと並行して、今後この会の力になれたらいい。
見えない誰かの役に立てればいいと思った。
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作業中の斜面に腰を下し、そこから針ノ木岳を望む。

針ノ木には雲一つなく、とても気持ち良さそうだった。
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織りなす峰々の向こうに槍ヶ岳を望む。
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不動岳もデカい。

その向こうには、たしか、薬師岳。

下草刈りを終え、俺は作業終了。
12時過ぎに下山にかかろうと思っているので、
一足先に上がらせてもらう。

おさんぽさんはもうちょっと作業してから戻るとのこと。

この後、水場で水を汲んで、小屋まで戻る。
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キャンプ場手前のダケカンバの巨木のある道。

とても気持ちよく、秋もとても綺麗。
時間があれば、ここで昼寝したいくらいの、とても場所。

キャンプ場から水場に下り、例の日本一危険な水場で、
水を17リッターほどか?汲み、小屋まで戻る。

老体には、なかなか堪えたぜ…。(汗)

小屋に戻り、昼食をいただいてから下山する。

記念に、去年は品切れだった、念願の船窪Tシャツを購入。
今年は、これ着て、山歩こうか。
もちろん、ボランティアの時にも…。

昼食を食べ終わる頃、おさんぽさんが帰ってきた。
彼も今日下山だが、俺より家が近い為、もう少し遅くに下山するとのこと。

下山前に、周囲の山々を眺める。
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今日は針ノ木も、その奥の立山もバッチリ見える。

素晴らしい天気に、素晴らしい展望。

名残惜しいが、明日は仕事。
下山する。

帰り際、スタッフのみなさんひとりひとりに挨拶すると、
船窪のお父さんから握手を求められた。

正直言って、とても嬉しかった。

今年から船窪小屋のボランティアの「道しるべ」の会に正式入会した。
けれど、総会には出たものの、その後の落葉掻きには、
あばらを痛め、不参加。
この日が実質初めての活動だった。

お父さんの厚い手と握手を交わした時、
初めてちゃんと会員になれたような気がして、本当に嬉しかった。

と同時に、これからも、自分の山歩きと並行しつつ、
極力小屋に来て、会の、小屋の、力になりたいと思った。

多くのみんなに見送られ、下山。
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大町側からは雲がわいてきた。

夏らしい青空。
陽射しが痛いくらい。
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天狗の庭からは、昨日は見えなかった裏銀の山々がバッチリ見えた。

今年は無理だろうけど、来年以降裏銀を歩いて槍にも行ってみたいな。

素晴らしい展望を胸に焼き付け、下山する。

天狗の庭から暫くは陽射しを浴びる為、暑くてキツいが、
樹林帯に入れば日陰になり涼しいと思い、先を急ぐ。
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鼻突八丁から上は、名前の通り険しい道だが、
この先は幾分楽。
とはいえ、気の抜ける道ではないけど…。

なので、転ばぬように集中して歩く。
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岩小舎。

樹林帯の中の道を誰とも会わず、独りで黙々と下る。

一度も休憩を取らなかったが、脚の方は案外調子良く、
膝の痛みも左に僅かに感じるくらい。

なので、休まずに下りる。

七倉まで下ると、これまでの登山道の静けさがウソだったかのように、
そこそこ多くの登山者で賑わっていた。


今山行は、本当に色々と勉強になるものだった。
そして、多くの岳人の先輩やスタッフからも良い刺激を受けた。
今までと一味違う山行だった。

ひょんなことから入会した「道しるべの会」だが、
本当に入会して良かったと思う。

これも一つの縁なんだろうと思う。

素敵な出逢いをくれた船窪小屋に、あらためて感謝。



[コースタイム]
船窪小屋(-/12:41)〜天狗の庭(12:54)〜鼻突八丁(13:12)〜
岩小舎(13:28)〜七倉(14:09/-)
by torajiro-joshu | 2013-08-11 23:59 | 山歩き

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu