寅次郎がゆく!

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蓮華岳に登り、針ノ木谷古道を歩く。(2日目)

朝起きた時には、まわりの山々はガスに包まれていた。
しかし、時間が経つにつれ、徐々に姿を現し始め、
同時にピンクの光を纏い、美しい姿を見せてくれた。
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夜明け前の立山方面。

ぐっすり寝たおかげか、幸いにも体の疲れは感じない。
その上、昨日感じていた足の付け根の痛みもない。

天気はそこそこ良さそう。
いい機会か!?

おいしい朝食をいただきながら、思案する。

昨晩観た針ノ木谷古道復活のDVDが頭をよぎる。

朝食後、小屋のボランティア・スタッフのTさんに
古道の状況を尋ねる。

どうやら、足の具合がたとえ昨日と同じ状態でも
なんとかなりそうと判断する。

当初は来た道を戻り扇沢に帰るつもりだったが、
平の渡し10時20分発の便に向け、出発することに決めた。

小屋のみなさんのあたたかい見送りと、その鐘の音に勇気を貰い、出発。

船窪小屋は本当にあたたかい。
今回2回目の宿泊だが、この小屋と出逢えて、本当に良かったと思う。
またの訪問を誓う。




七倉岳の分岐までは軽く登ってゆく。

分岐では、先行する登山者が道を譲ってくれるが、俺は船窪岳方面へ。

ちなみに、この時を境に、平の渡しまでの数時間は
誰ひとりとも遇わない、静かな静かな一人旅だった。
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七倉岳分岐を過ぎ、キャンプ場方面へ。

前方の針ノ木、立山方面にはうす雲がかかっていた。
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キャンプ場分岐を過ぎ、相変わらず迫力のある崩壊面の淵をゆく。
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すると、左手の登山道は通行できないようになっており、
その下の右手には、出来立てと思しき、
まだフカフカの登山道ができていた。

浸食による崩壊が激しい為、安全な登山道を新たに設けたようだ。
そういえば、昨晩、烏帽子方面から来られた登山者が話していたっけ。
昨日も整備してくれていたと…。

ありがたい。

この界隈はこういった浸食が激しいが、
こうやってルートをキチッと整備してくれているので助かる。

整備をしてくれていたであろうボランティアの方や
小屋のみなさんの顔が浮かんだ。

急ではあるが、そんなよく整備された道を快適に下る。

船窪乗越を間近にする頃、またも見送りの鐘が聞こえた。
結構遠くまで聞こえるもんだ。

勝手に俺への再びのエールと思い、感謝する。(笑)
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船窪乗越にて。

針ノ木谷出合までは1時間か…。
これを下れば、復活した針ノ木谷古道の高巻き道を除いて、
ほぼずっと沢沿いの道を歩く。
また、いかにも熊のいそうなルート…。
気を引き締めてゆく。

よーし、下るぞ!と思いきや、出だしはトラバース気味の登り。
ちょっと面食らう。
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蓮華岳方面を望む。

蓮華岳は姿を現しているが、大下りと北葛岳は雲に呑まれていた。

一息の登りが終われば、一気の下り。
沢までの道を黙々とくだる。

出合までの道は特に迷うようなところもない。
出合のすぐ手前で多少歩き難さを感じるようなところもあったが、
ロープも張られ、特に問題はなかったように思う。
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出合から来し方を振り返る。
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ここから針ノ木谷を歩く。

沢沿いのルートなんて久しぶり。
穂高周辺の本谷右俣を思い出した。

空には雲が増えていた。
雨が降ることはなさそうだが、いやな気分なので、先を急ぐことにする。

足の痛みはない。
ペンキとマークに導かれ、快調に下ってゆく。

聞こえるのは沢の音だけ。
乗越の下りから、熊除けの為に鳴らした
iPodの音楽も、まるで意味のないものになっていた。
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カモシカの壁かな!?

昨晩DVDで見た気がする。
かなりの迫力。
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「針ノ木谷古道が復活しました」の看板。

さて、ここから、一時廃道になっていたのを、船窪小屋のお父さんをはじめ、
様々な関係者のみなさんの御尽力により復活した道をゆく。

これまで歩いた上流は、4〜5回小さな徒渉を繰り返したが、
これからは高巻き道。
沢から離れ、斜面の上方を巻いてゆく。
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途中には涸れ沢を横切るルートもある。

微妙にルートを見落としそうになる場所もあったが、
冷静に考えれば大丈夫。
丁寧にルート・ファイディングしながら歩く。
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針ノ木谷古道は、よく整備されているとは言え、さすがにワイルドな感じ。
この辺、明らかにメジャー・ルートとは異なる。

木の根、岩混じりの道に、落葉が付いていたりするので、案外手強い。

それでも、静かに歩けるこのルートは、
中級レベル以上の登山者にはかなり楽しそうな気がする。

気付いたら、再び沢に出ていた。
骨のある印象の針ノ木谷古道のルートは終わっていたようだ。

高巻き道としてしっかり整備されていたからいいものの、
これがちゃんとされていなかったら、かなり大変だろうなと思う。

「山と高原地図」の古いものでは危険マークが多いのも頷ける。

こうやって、安全に歩くことができたのも関係者のみなさんの御尽力ゆえ。
あらためて感謝である。
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新しい標識が、古道の復活を際立たせていた。

南沢の出合の一つ前の徒渉で、登山靴に水をかぶる。
どうしてもソールだけ濡れるというわけにはいかなかった。
けれど、浸水もせず、なんとか徒渉。

南沢出合の最後の徒渉は、かなりその距離が長く、
それゆえ、補助ロープが渡してあった。

それがないと結構渡り難かったと思うが、
あった為に無難に徒渉。

もしかしたら、8時20分の船に間に合うんじゃないかと、
これまで頑張ってきたが、もう間に合わないと思い、
徒渉後にちょいと休む。
この時、時間は8時ちょい過ぎ。
さすがに着かないわな…。

だが、これは錯誤と後で判明。
8時台の船はなかったのだった…。

なんとも間抜けな…。
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南沢出合徒渉後には小さな橋を渡り、それに連続した木の橋でトラバース。

おかげで、歩き易くなっていた。
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少し進むと、立山へと続く峰だろうか?それらの一部が見えた。

空はいつの間にか晴れ、夏の陽射しが甦ってきたようだった。

沢から離れ、再び高巻き道を歩くようになる。

針ノ木谷古道と異なり、こっちは、落ちたらかなりヤバい感じ。
それなりに注意して歩く。

避難小屋で休んでもいいと思ったが、
それはなんとなく大きなバス停みたいで、
また陰鬱な感じがしたので渡しまで一気に行くことにした。

眼下に渡船場が見えてきたが、崩壊した昔のそれだった。

渡船場に着いた。
これまで3時間弱。
結局、誰とも遇わなかった。
本当に静かなルートだった。

渡船場には先客4名。
みんな奥黒部ヒュッテから来られたようだった。

現在の渡船場は、かなりワイルド。
岸からいきなり乗り込むような場所であった。

次の乗船時間は10時20分!
思ったより早く着き、1時間半以上待つことになった。

最初はそうでもなかったが、そのうち風が吹いてきて、
湖面にも大きな波紋ができるくらいになっていた。

汗冷えして、体が寒くなってきたので、ダウンを着込む。

そして、本当は平の小屋で昼飯にしようと思っていたのだが、
時間があるので、湖の畔のここで昼飯にする。
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船窪小屋のお弁当。
おにぎりである。

そして…、「いってらっしゃい!! お気をつけて」のメッセージ付き!
そして!そして!スマイル・マーク!

なんとも嬉しいじゃありませんか!
俺は久々に泣きました。←心の中で、ですけど…。(笑)

お弁当を受け取った時から、このコメントはわかっていたけど、
こういうのは本当に嬉しい!
船窪小屋のあたたかさが、よ〜く表れていると思う。

こんなの彼女にもしてもらったことないぜ…。(号泣)

乗船まで一緒に過ごした他の登山者の人達と、
このお弁当でも盛り上がり、楽しい時間を過ごした。

おにぎりは、当然、最高だった。(笑)
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やっと、平の小屋から船が迎えに来てくれた。

船の姿を発見した登山者は、さながら救出を待つ遭難者みたいで、
その姿に誰もが声をあげた。

しかし…、波高が結構あった為か、船がなかなか岸に着けず、
ちょっとハラハラしたが、平の小屋のアニキ(といった感じの
格好いい主だった)のテクにより、難なく全員乗船し、
向こう岸に渡る。

思いがけず、山中でクルージングを味わう。
デッキの上で受ける陽射しは、夏のそれのようで暑く、
着込んでいたダウンも脱いでしまった。
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平の小屋側はしっかりした乗船場がある。

黒部ダムとは反対方向にある平の小屋にて休憩。

後から登ってこられた平の小屋のアニキにお礼の挨拶と、
船窪小屋のお母さんからあずかってきたメッセージを伝え、
ちょいとお話をした。

小屋もアニキもイイ感じだったので、
いつかここに泊まって山歩きもいいだろうなと思った。

少し休んだ後で、ダム沿いの道をゆく。

わかってはいたが、この道、細かなアップダウンの多いクネクネ道で、
体力というよりは精神力が試されるような辛い道だった。

もし来年平の小屋利用でこの界隈を歩くなら、その時は公共交通で
アプローチする可能性が高いと思うので、この退屈な道も考慮すると、
扇沢から入り、初日はのんびり平の小屋までってのがいいかもしれないな
などと考えながら歩いていた。
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スバリ岳方面!?
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樹間から赤牛岳!?方面。

さすがに下は暑い。
日陰ならばいいが、日向になるとまだまだ夏を思わせ、
本当にキツい。

それでも黙々と歩く。

ロッジくろよんで最後の休憩。

あとはもう観光地ムード。
多少の寂しさを抱えながら、ダムへと向かう。
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ダムでは放水をしていた。

そういえば、去年は劔から北方稜線の予定が、雪で大幅に予定が狂い、
北方稜線カットの山行となり、帰りに内蔵助出合から黒部ダムに向けて
歩いて、下から放水を見たっけ…。

あっ!それはアップしてないな…。
ちゃんとアップせねば…。(汗)

思いがけず歩くことができた針ノ木谷古道、
静かな静かな良いルートだった。

初日の足の付け根の痛みからは、
一体どうなることかと思った今回の山行。
何はともあれ、本当に楽しかった。
また、楽しい出会いもあり、印象深い山行となった。



[コースタイム]
船窪小屋(-/6:01)〜船窪乗越(6:26/6:30)〜針ノ木沢出合(6:57/7:01)〜
南沢出合(8:08/8:15)〜避難小屋(8:34)〜平の渡し[針ノ木側](8:45/10:25)---
平の渡し[平の小屋側](10:36)〜平の小屋(10:43/10:56)〜
ロッジくろよん(12:52/13:13)〜トロリーバス乗り場(13:34/-)
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Commented by でん at 2012-09-30 18:52 x
このルートはバラエティーに富んでいてユニークだと思いました。
古道から船、そしてトローリーバス、なかなか無いですよね(^^)
寅次郎さんが選ぶコースはいつも渋くて参考になります(^^)
Commented by torajiro-joshu at 2012-09-30 22:20
★でんさん、こんにちは。
このルート、かなり面白かったですよ。

初日の初っ端の一気登り、
その後の急降下と連続するアップダウン。
あたたかい小屋での一泊を挟み、
今度は一気の降下と沢沿いのルートと復活した古道歩き、
再びの沢沿いのルート。
クルージング(笑)の次には、精神力が試されるルート。(笑)
最後に、ある意味、混雑時にはこれまた精神力が
試されるトロリーバス。(笑)

全体を通して、かなり静かな山歩きが楽しめます。
その後の黒部ダムでは、浦島太郎状態!?(笑)
とても面白いルートでした。

機会あらば、でんさんも是非!
Commented by よしくに at 2012-10-06 07:36 x
船窪小屋スタッフの暖かな気持ち
写真を見て、ぐっときました
益々行きたくなりました
蓮華からは、先ばかりを考えてましたが
黒部ダムも見てないし
とても楽しそうな山行ですね

夕べ、でんさんからメールがありました
今月末の浅間山
私も、休みが取れるかどうか微妙ですが
できるだけ行こうと思ってます
お会いできると良いですね
Commented by torajiro-joshu at 2012-10-09 17:58
★よしくにさん、こんにちは。
船窪小屋、本当にいいでしょ?
こういうのって、嬉しいですよね。

針ノ木谷古道、静かでいいですよ。
盆明けなら水量も少なくなるでしょうし、
その頃なら濡れずに楽しめるんじゃないでしょうか?

いつかお会いできたらいいですね〜。
by torajiro-joshu | 2012-09-17 23:59 | 山歩き | Comments(4)

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu