寅次郎がゆく!

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鹿島槍ヶ岳〜白馬岳縦走 3日目(唐松岳頂上山荘〜白馬山荘)

前日同様、夜中に何度も目を覚ます。
その度、目を瞑って、じっとしている。
しかし、ロクに寝られず、おそらく睡眠時間は2時間以下…。

本日の行程の最難関・不帰キレットに向けて緊張しているわけでも
昂っているわけでもないのだが、何故か眠れなかった。

唐松岳を過ぎ、白馬方面に向かう登山者は少ないと思われたが、
難所での渋滞に巻き込まれぬよう、また、午後からまた大気の
状態が不安定になる予報だったので、小屋で朝食を摂る登山者達よりも
ちょっぴり早めに出発することにした。

自炊をし、食事をする前は、まわりの山々は雲の中だった。
けれど、出発の準備を済ませ、外で靴ひもをしめる頃には、
山々が徐々に姿を現し始めた。
昨日はほとんど雲の中だった五竜も、劔も、立山も、姿を現し始めた。

昨日、一緒に酒を汲み交わしたnaoさんも山々を満足そうに眺めていた。
naoさんと出発前に話をし、安全登山と、いつの日かの再会を誓い、
俺は不帰方面に向け、出発した。

小屋を出てすぐのところで、コマクサが群生していた。
まだまだ夏の名残を見せてはいるが、空はもう秋色だった。
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唐松岳に向かう途中で、小屋を振り返る。

なかなかいいところに建っている。
晴れているならば、目の前に立山〜劔の山並みがしっかりと見える。
食堂やテラスでは、それを肴にビールが飲める。(笑)

唐松岳の頂上は、小屋から20分程度。

その途中で、よっしーさんとすれ違う。
よっしーさんは八方から下山。
今回はこれでお別れ。
よっしーさんとも安全登山と、いつの日かの再会を誓い、
それぞれの道を歩いていった。




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唐松岳頂上にて…。
バックには劔。

いやはや、最高の天気!
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五竜の肩の向こうに槍ヶ岳も見えた。

それでも、午後は大気が不安定という情報を下界の山仲間が
おしえてくれたので、遅い到着とならぬよう、気を引き締めて
歩くことにする。
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これから歩く不帰の嶮には、たなびく雲がかかる。
そして、すぐ向こうは、こちらから見れば、天狗の"大上り"。

このコース、相変わらずアップダウンが多い…。

それでも、7月末の船窪〜烏帽子の山行がきいている。

あのロング且つアップダウンの多い登山道を、しかも、
森林限界以下のところを上下する登山道を歩いた経験は、
今に生きている。
あれから比べれば、きっと楽と…。

また、最近でこそ歩いていないが、桐生の吾妻山における
低山トレーニングも同様に生きている。

自分の場合、吾妻山の本格的登山道入口からは一息で登り、
一息で下ることにしている。
その標高差はおおよそ240m。

それを自分の中で1ピッチと捉えれば、
標高差1000mのところは4ピッチ。
あれを4回頑張ればいいのだということになる。
すると、標高差1000mというのも、あまり大きな壁とも思わなくなる。

実際、そう考え、体がその感覚を覚えてからは、
以前に比べ、山歩きが気持ち的に楽になったように思う。

実際には、そんなにピッチとして区切らず、歩きたいだけ歩いて、
休みたくなったら休むことにしているわけであるが…。

不帰キレットまでは結構下り、天狗山荘方面へは結構登り返すことになるが、
それもそう考えれば、あまりキツいとは思わなくなっていた。

それでも、ここは難コースの一つである。
気を引き締めて、歩き出す。
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3峰までは比較的穏やか。

なんとなく燕岳っぽい雰囲気。
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回り込むと、1峰が姿を現す。
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不帰2峰南峰。

ここからは迫力が徐々に増してくる。
(ちなみに、標識の右斜め上部にピョコッと見えるのが、2峰北峰。)
先行する登山者が狭そうなトラバース道をゆくのが見えた。
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不帰2峰北峰。

人が通れるのか!?なんていう風に見えたトラバース道も、
実際に歩いてみると、案外広い。
まぁ、だからと言って、気を抜いたら、ヤバいことになりそうな
ところであることには違いなかった。

ここからは更に険しさが増してくる。

狭い北峰のピークを越えるとすぐに下降する。
ここの出だしは結構危険と思われる。

そこからいくつも連なる鎖場を大きく下り、
大町側に回り込む。
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すると、1峰と、白馬へと連なる山並みが大きく見える。

そこからトラバースして、へつって、へつって、
トラバースして、といった感じで1峰へと近付き、
最後に大きく大きく下る。
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1峰とのコルへと下る登山者。

結構鎖は長い。
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2峰北峰(左)と南峰(右)

険しい感じ。
どこから下りてきたんだろうという気が…。
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不帰1峰より2峰北峰。

ここまで来れば、危険なところはもうない。
心地良い満足感に浸る。
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休憩を取りながら、歩いてきた方向をのんびり眺める。

しかし…、今しがた通ってきた2峰北峰あたりからは落石の音がする。
更に、それは長く続く。
こちらから向かった登山者が落としたものか、
或は後からこちらに向かう登山者が落としたものかはわからないが、
けが人が出ないことを強く願う。

凝縮された難ルートをこなし、あとはもう体力勝負。
天狗の”大上り”を先ずはゆく。

下って間もなくすると、登山者が立ち止まっている。
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またも雷鳥がいた。

今山行では、雷鳥によく遇う。
毎日どこかしらで遭遇している。
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キレット手前あたりから振り返る。

1峰の傾き具合が面白い。

キレットから天狗山荘方面へは、そんなに危険はないものの、
やはり、結構長い。
それをひたすら登ってゆく。

唐松方面からよりも、天狗山荘からの登山者の方が圧倒的に多い。
どっちからの方が楽なんだろう?
やはり、あの連続する鎖場は、下りより登りの方が楽だろうな。
でも、デカい荷物では登りたくないな。
ザックが引っ掛かりそうだし…。

”大上り”をひたすら登る。

途中、下ってくるオヤジに突っ込まれそうになる。
寸でのところで止まったが、あのままぶつかっていたら、
俺ははじき飛ばされていただろう。

基本的に登り優先なのに、ガツガツ下りてきて、
まったくマナーもなってない。

あの調子だと、鎖場付近では落石を連発しそうな気がしたので、
オヤジの後から下りてきた大学生と思しきパーティのリーダーに、
あのオヤジの行動には細心の注意をした方がいいと告げた。
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空はもう秋色。

山々の景色だけでなく、空の色や雲を楽しみながら歩く。

”大上り”で唯一の鎖場にさしかかる。
すると、下りてくるオバヤンが落石を起こす。
起こしても無言。

鎖場に夢中なのか知らんが、落石を起こしておいて無言はない。
すれ違った時に挨拶はおろか、詫びの一つもないし…。
こんなところに来るんだから、初心者ではあるまいし…。
さっきのオヤジといい、マナーが欠落してる中高年登山者が
意外に多いことにガッカリする。
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更に登ると、五竜が再び顔を出す。

今日登ったら、気持ち良かっただろうな…。
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天狗の頭手前まで来ると、山の表情が一変。
穏やかな山容が姿を現す。
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天狗の頭から白馬方面…はイマイチだった…。

白馬鑓ヶ岳に向かう前に天狗山荘で休憩。
ここは静かな感じで、更にはすぐそばに雪田があり、
なかなかいい雰囲気のところだった。
機会あらば、ここの小屋にもいつか泊まってみたい。

天狗山荘から先の登山道脇には、結構花が咲いていた。
ウルップ草がたくさん咲いていた。
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穏やかな山容の向こうには白馬鑓ヶ岳。

緑はほとんどなく、白と黒の石が積み重なったような山肌は、
崩れないことが不思議なように思えた。

しかし、実際に取り付くと、案外しっかりしていて、心配は無用だった。

トラバースせずに、一気に頂上へ…。
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頂上は何か味気ない感じで、朽ちた標識が寂しさを感じさせた。
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白馬鑓ヶ岳を越え、杓子岳へ。
向こうには白馬岳も姿を見せ始めた。

一旦下り、また登り返す。

途中、爽やかな感じの綺麗な、単独行のおねーさんとすれ違う。
なんとなく、同じ感覚で山を登ってるような気がしたからという
わけではないが、ちょいと立ち話。

きけば、今朝猿倉から歩き始め、鑓温泉方面に向かうとのこと。
そこで宿泊するのは羨ましい!と言うと、
なんと!今日はそこを通り過ぎ、下山するとのこと。

いやはや、スゴい!
コースタイムでは14時間だもんな。

日帰りはもったいないね!と言うと、
「明日仕事なんで…」と残念そうに答えた。

それでも歩きたいんだろうなぁ。
そんな気持ち、よくわかるなぁ。

そういった雰囲気を俺は微妙に感じ取っていたのだろうか?
だから、立ち話などしてしまったのかもしれない。(笑)

今日の天気も午後から不安定になるかもしれないとのこと。
お互いの安全登山を誓って、またそれぞれに歩き出した。

涼やかに力強く、綺麗に咲く高山植物みたいな女性だった。
その姿に力を貰い、杓子へと向かう。

下り切る手前で、今山行で初めて見た、というより、
今まででも初めて見た気がする花に出逢う。

丁度、グリーン・パトロールの方が下から上がってきたので質問する。
果たして、それはミヤマアズマギクとのこと。
夏の花で、秋の花に移行しつつある今咲いているのは、かなり珍しいらしい。
花とパトロールの方、両方に出逢えた偶然から知った。
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雲が湧く。
その間を避けるように通す陽射しと、斜面から照り返すそれがキツい。

杓子へのジグザグの道も案外キツい。
それでも頑張る。
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杓子の頂上は、今にも崩れ落ちそう…。

近付くのが怖いよう…。

あまり居心地がいいとは言えない頂上なので、
ザッと休み、下る。

白馬鑓ヶ岳に登る登山者は多いが、ここはスルーする人が多かった。
なんでだろう?
ちょっぴり杓子岳が気の毒に思えた。

思ったより急なガラガラした登山道を下る。
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白馬岳や、その隣の旭岳は雲に隠れたり、姿を現したり。

杓子岳を越えると、緑が増える。

その緑と雪の白に心和む。
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白馬岳が大分近付いてきた。

その直下には巨大な小屋も見える。
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振り返ると白馬鑓は雲の中…。

杓子を下りてからのトレイルは、緑の中の高原歩きといった風情で
とても心地良かった。

頂上山荘の手前の丸山の直下で、またまた雷鳥に遭遇。
この時はギャラリーが多かったせいか、雷鳥はそそくさと去ってしまった。

本日の宿はどちらにしようか迷ったが、
なんとなく頂上に近い方がいい気がして、
白馬山荘まで足をのばすことにする。

途中、頂上山荘で水を汲ませていただく。

頂上山荘から白馬山荘への登りは、ほんの少しのように思えたが、
思ったより長かった。
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白馬岳ばかり注目されているが、隣の旭岳も案外デカい!

ここを通って、清水岳、不帰岳と歩き、祖母谷温泉に行くのも楽しかろう。

白馬山荘で宿泊の手続きを済ませ、白馬岳の頂上へ。
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案の定何も見えず…。

山座同定は全くできなかった。

翌日の天気も期待できないだけに、今日景色を見たかったのだが…。

あっさり諦め、小屋に戻る。

戻ってからは、お決まりの生ビールで休憩。
その後、夕食まで、白馬大池方面から登ってこられた御夫婦と
テラスで会話を楽しんだ。
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白馬山荘の夕食。

おいしく、たらふくいただいた。

明日の天気も午後からは不安定の予報。
日程的には、あと一日宿泊しても大丈夫なのだが、
明後日もイマイチらしいので、明日下山することに決める。

なんとはなしの寂しさがこみ上げた。



[コースタイム]
唐松岳頂上山荘(-/5:30)〜唐松岳頂上(5:44/5:54)〜不帰2峰南峰(6:21/6:25)〜
不帰2峰北峰(6:34/6:38)〜不帰1峰(7:09/7:19)〜2740mピーク(8:25/8:33)〜
天狗山荘(8:59/9:14)〜白馬鑓ヶ岳頂上(10:00/10:12)〜杓子岳頂上(11:01/11:13)〜
白馬岳頂上宿舎(12:08/12:19)〜白馬山荘(12:35/12:55)〜
白馬岳頂上(13:07/13:14)〜白馬山荘(13:21/-)
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Commented by よしくに at 2012-08-26 05:52 x
連日ガスに包まれ、その分、雷鳥と出会えたんですね
雷鳥も嬉しいけど、やっぱり展望楽しみたかったでしょう
不帰ノ剣は、もちろん緊張したけど
思っていたより楽に通り過ぎたのは
逆コースだったからかな?
テン泊で、荷も大きかったけど
鎖場も楽しんじゃいましたから(笑)
不帰から眺めた八方池はきれいだったな~
ただ、唐松に着いたのが遅かったので、
テン場が、小屋から大分したになってしまい
トイレに登るのが大変だった(笑)
でも、夜、星空の下、シルエットの剱はとても素敵でしたよ
鑓温泉に行きたいと思ってるんだけど
八方から不帰を越えていくのもおもしろいなと思いました
白馬山荘の食事はごちそう
流石、人気の宿ですね
Commented by あひる at 2012-08-26 06:50 x
不帰、楽しませて頂きました!
こういう所だったのですね。行ってみたいなぁ。
それにしても人気があるエリアだけに
景色も雄大で素晴らしいですね。
未だに白馬未経験の私にとっては刺激的でした。
それにしても猿倉から日帰りのお姉さん・・・スゴイですね。
鉄人はいるもんですねー
Commented by torajiro-joshu at 2012-08-26 07:33
★よしくにさん、こんにちは。
この日は展望も雷鳥も楽しめる、贅沢な一日でしたよ。
不帰の嶮を歩いている時は天気も良かったし、なかなかでしたね。

唐松のテン場は、下の方だと、たしかにトイレが大変でしょうね。
展望はすごくいいでしょうけど…。

鑓温泉、いいでしょうね。
スピーディにこなせれば、八方から入って、
一泊二日で鑓温泉もありでしょうね。
天狗山荘も魅力的だけど…。
Commented by torajiro-joshu at 2012-08-26 08:16
★あひるさん、重ね重ねありがとうございます。
不帰の嶮、核心部の写真がないですね…。
ピークばっか…。

実は、2峰南峰から2峰北峰〜1峰間の小さなコルの間まで、
ソールの相性が悪いのか、かなり滑る感じで、そっちに
集中してしまい、その間はほとんど写真を撮りませんでした…。

不帰の嶮の核心部自体は、かなりコンパクトにまとまってますね。
ギュギュッとまとまってるので、あとは楽勝ムードでした。
楽勝と言っても、あとは体力勝負のコースですけど…。(笑)

この日のコースはなかなか変化に富んでいて、楽しかったです。
あひるさんも是非歩いてみて下さい!

猿倉周回日帰りのおねーさんにはびっくりでした。
しかも、綺麗だったし…。←そこ!?(笑)
by torajiro-joshu | 2012-08-17 23:59 | 山歩き | Comments(4)

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu