人気ブログランキング | 話題のタグを見る

寅次郎がゆく!

toragayuku.exblog.jp
ブログトップ

船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)

前日の夕食後から降り出した雨は、雷を伴い、時に強く降り、
一晩中ゴロゴロと雷鳴を響かせていた。

夜中何度も目を覚ます度に耳にする雷鳴は、
俺を不安にさせた。
天気は大丈夫か?
しっかり行動できるか?

陽がのぼる前に、寝室の窓から不動岳方面を見ると、
ぼんやりとした視界の中でも、晴れているような感じだった。

古河市から来たという、隣のおじさんが言う。
「晴れてるよ」と。

急いで飛び起き、外に出る。

船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20524385.jpg

槍ヶ岳が綺麗なシルエットとなっている。



船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20525853.jpg

東の空はイマイチで、綺麗な日の出は見ることができない。
雲海に覆われ、大町方面は雲の底に沈んでいる。

それでも、そのグラデーションの美しさに
自然と笑みがこぼれた。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2053674.jpg

本日歩くコースに目を見遣れば、不動岳が大きい!

ぐるっと円を描くように不動岳に向かい、
更にはその奥へ進むようにして、中央の烏帽子岳へと向かう。

結構遠い…。

しかも、本日の行程はそこで終わりではない。
烏帽子から、日本三大急登の一つと言われる、ブナ立尾根を下るのだ。
コースタイム的に言えば、烏帽子までで行程の
おおよそ2/3が終わったに過ぎない。

それでも、烏帽子に向かったら下山方法はそれしかないので、
腹を決めて(笑)、コースでのタイムスケジュールをおおまかに
頭の中で計算する。

簡単に考えれば、12時烏帽子到着で楽勝ライン。
あとは高瀬ダムに下山して、更にはそこから七倉へも
車道を歩いて戻れるだろう。

とは言え、「烏帽子、針ノ木方面に向かう方は朝食は一番の5時からです!」
というアナウンスがあったにも関わらず、何故か俺だけ!?二番手…。
まぁ、ゆっくりできるからいいけど…。
↑余裕ぶっこいていて大丈夫か!?俺…。
このコース歩いたことないのに…。
ちょっと出発が遅れる為、13時烏帽子到着に設定し直す。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20531362.jpg

針ノ木小屋の朝食

わわっ!温泉卵!
山小屋で温泉卵なんて初めて!
大感激だ!

ワシワシと、今日の活動の為、普段の倍の二膳の飯を食らう。
とてもおいしい朝ご飯だった。

しか〜し、超個人的なことを言わせていただく。(苦笑)
ラッキョウだけはダメだ…。
残しては失礼だし、ゴミになるので仕方なく食べたが、
やはり、あれだけはダメだ…。(涙)
俺の一番苦手な食べもんだな…。

準備を整え、小屋のみなさん、隣のおじさんに挨拶し、出発。
出発間際、鐘を鳴らし、送り出してくれた。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20531988.jpg

船窪小屋を振り返る。

本当に素敵な山小屋だった。
ずっとずっと来てみたい!泊まってみたい!と思っていた。
そして、本当に、来れてよかったと思う山小屋だった。
また近いうち(民主党的言い回しではない!笑)に再訪することを心に誓った。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20535718.jpg

先ずは七倉岳へ登頂。
小屋からは少し行ったところにある。

さぁ、気を引き締めて!
長い道のり、烏帽子を目標に進むぞ!

……。
あれっ!?道がない…。

七倉岳頂上から直に船窪岳へと向かうルートがあるものと
ばかり思い込んでいた。
間違えて針ノ木方向に進むこと2〜3分。
あやしさに気付き、七倉岳の頂上へと戻る。
正規のルートはキャンプ場のところから繋がってるんだった…。

ここで多少のタイムロス…。
けれど、間違ったおかげで、七倉岳の先で雷鳥を見ることができた。
まぁ、ヨシとしよう!(笑)
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2054610.jpg

七倉ダム!?方面を見る。

こうみると、すぐにでも行けそうだが…。

キャンプ場への分岐から、烏帽子への道に進む。
キャンプ場に着くまでにも、梯子の急勾配がある。
前日の水汲みに行った時同様、慎重に下る。

キャンプ場から先は、より一層ひっそりとした雰囲気になる。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20541626.jpg

崩壊面のすぐ上や、その裏を通って、船窪岳へと向かう。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20542819.jpg

中央の崩壊面のすぐ上が船窪岳。
その奥が船窪岳第2ピーク。

わかってはいるが、結構アップダウンが激しい…。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2054365.jpg

進行方向左を見れば、右に大きな不動岳。

取り敢えず、烏帽子が目標とは言え、それ以前に、
あの大きな不動岳も越えねば…。

何度もある、そこそこ大きなアップダウンに、
体力よりも精神力の方がキツそう…。
陽射しが強く、暑いし…。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20551351.jpg

崩壊面を覗く。

かなりの迫力。

ザラザラとしたように見える崩壊面は、
落ちたら、蟻地獄の如く、下まで呑み込まれそうで怖い。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20552521.jpg

船窪岳頂上へ。

七倉岳付近で迷った為、少しタイムロスしたが、まぁ、そこそこか…。

それにしても、凄い頂上。
山頂標識のすぐ脇は、もう完全に崩壊している。
もしかしたら、何年か後には、頂上が後退してるかもしれない…。

ここから先は、更に険しい道に…。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20553470.jpg

かなり痩せた道。
一番狭い中央部分は、幅が僅か1mほどか…。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20554429.jpg

樹間から針ノ木岳が覗く。

このコース、主に樹林帯歩きだが、それ故、時折山々が見えると、
より一層嬉しく思える。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_20555744.jpg

崩壊面の本当にすぐ上。
こんなところも歩く。

樹林帯を歩くうちに、いつしかガスに被われ、
昨日泊まった船窪小屋方面さえも見えなくなった。

至極残念…。
しかし、これは、振り返ってみれば、これで良かったのかもしれない。
熱い陽射しがない分、と言っても、陽が出たり出なかったりだったが、
総じてガスに被われている為、比較的キツくはなかった。

それでも、大量に汗をかいた分、大量に水分を必要としたことを考えれば、
もしカンカン照りだったら…と、ゾッとする思いだ。
ピーカンだったら、烏帽子で水を購入せねばならなかったかも…。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2165220.jpg

不動岳頂上。

歩いている間は、ものすごく存在感があったけれど、
頂上まで来ると、意外におとなしめな感じ。

頂上には烏帽子に向かう人、船窪に向かう人で交錯し、
自分を含め6人いた。
しかし、山ガールなんて全然いない。
平均年齢は50代後半くらいか…。

さすがに玄人好みのするようなコースだけのことはある。
それだけに、静かな山歩きができ、とてもいい。

まぁ、若くて綺麗なおねーちゃんがいれば、それはそれでいいけど…。(笑)
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_21621100.jpg

南沢岳へと続く稜線。
意外に遠いなぁ。

雲がどんどん湧いてくる。
夏山の午後といった感じ。
(まだ、全然午前中だけど…。)
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2173213.jpg

不動岳頂上近くの、コマクサの群落。

あまり有名ではないだろうけど、結構な群落。
今が盛りと咲くコマクサはどれもとても綺麗。

時間があれば、のんびり写真でも撮りながら、
散策気分で歩きたかった。

快適な稜線歩きから、再び樹林帯歩きへ…。
乗越に向けて降下してゆく。
そして、再び登り返す。

なかなかシビレルぜ。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2175096.jpg

これまた、凄いところにある道。
普通では落っこちないとは思うが、転がったら…。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_218195.jpg

南沢岳頂上

三角点はあるが、標識もなく、えっ!ここ!?って感じ。
標識くらいあってもいいとは思うが…。

頂上に立った時、南沢奈央ちゃんって、
結構カワイイよなぁ…なんて、ふと思った。
どうでもいいことかもしんないけど…。(笑)

ちょいと休んで、烏帽子岳へ向かうことにする。
ここでも頂上近くにはコマクサの群落。
(写真にはないけど…。)
かなり沢山咲いていて、登山道のすぐ脇でも咲いている。
なるべく登山道の中央を歩くようにして、
コマクサを踏みつけぬよう気をつける。

ここはイイ!
コマクサがいっぱい咲いているのに、登山者があまり来ない。
だから、踏み荒らされることもほとんどなく、
綺麗に咲いていけるんだろう。
アプローチも大変だけど、それ故、花にはいい条件なんだろうな。
いつまでも静かな、こんなとこがあってもいいだろう。

なだらかな道をゆくと、風景が一変。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2110399.jpg

烏帽子が間近に見えるところまで来た。
烏帽子、岩の塊だな…。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_21103263.jpg

ここが烏帽子田圃と言われるところか?
大小いくつもの池塘が点在し、雰囲気は黒部五郎カールの底に
似ているような…。
この雰囲気、実にイイ!

烏帽子田圃の風景を楽しみながら歩く。
徐々に大きくなる烏帽子の姿にコーフンする。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2111977.jpg

烏帽子岳分岐付近より烏帽子岳。

デ、デカいじゃん!
正に岩の塊やん!
あれ、本当に20分で登れるのか!?

緑もあるけれど、槍ヶ岳の岩岩した姿に勝るとも劣らない大迫力!

全体的に岩岩してるけれど、最後の基部!?からは、
鎖で直上し、トラバース、更に直上。
すると、頂上付近に立つことができる。
そこから、ほんの少し登ると、岩と岩の間に標識がある。
一応、そこを頂上と呼んでいるのだろうか?
そこから更に数m攀じ登ると、猫耳状のピークとなり、
標識を背にして、左が正に最高点。

その最高点はかなり際どく、人が…、まぁ、慣れた人なら立てるかな?
けれど、落ちたら、極めてヤバい。

運悪く、ポツリポツリと小さな雨粒も落ちてきた。
なので、俺は、本当の最高点のちょい手前まで登り、
そこにタッチするにとどめておいた。

ちなみに、最高点(定義が難しいが…。)の広さは、
椅子の座面ひとつ分もない。
そういう意味では、槍ヶ岳よりも遥かに遥かに尖ったピークである。

また行く機会があるなら、今度は最高点に立ってみたいなぁ。(笑)

標識より下には、比較的広い一枚岩の場所もあるので、
そこで少し休もうとも思ったが、雨粒がさっきより多く落ちてきた。
なので、そそくさと下山。
しかし、基部!?に戻る頃には、もう落ちていなかった…。
なんだったんだ!?あの雨粒…。

分岐まで戻り、そこから前烏帽子へ…。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_21113481.jpg

前烏帽子から、今日歩いて来た道を振り返る。

烏帽子〜南沢岳〜不動岳の山並が一望できた。
やはり、なかなか大きいし、アップダウンもある。
結構歩いたなぁ。

しかし、感慨に耽ってる暇はない。これから下山が待っている。
コースタイムでは、高瀬ダムまで3時間半はかかる…。
そして、そこから七倉まで車道を歩けば、更に1時間以上…。
未だ1/3も行程が残っているのだ…。
気をひきしめてゆく。

その前に、烏帽子小屋にて、船窪小屋特製のおにぎりをひとつ食らう。
赤米に梅干しのおにぎりがしみる。

栄養補給し、下山する前に、
昨日船窪小屋で一緒だった青年を探してみたが、
本日はテント泊ということなので見つけられず、
そのまま下山することにする。

日本三大急登の一つと言われるブナ立尾根は、
小屋からは一旦登って、あとは急降下。
高瀬ダムまでは1300m近くの標高差。

そこをなんとはなしに一気下り。
途中、濁沢で水場があると思ったが、見つけられず通過。

ダム手前で、3Lの水を飲み干してしまった。
まさかとは思ったが、前半のあまりの暑さに、
水分摂取が激しかったらしい。

弱ったとは思ったが、こんな時の為に、
コンタクトレンズ洗浄用の水を余しておいた。
約400mlあるので、それを飲用に転用。
これで一安心だ。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_2112242.jpg

仮の橋を渡り、高瀬ダムへ。

ただ、この道は意外に分かり難い。
(俺がペインティングを見落としただけか?)
橋を渡り、左斜め前方の丸い山方面に向かうと、
ダム方面へはすんなり行けたよう。
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)_a0094280_21124532.jpg

途中で、大きな吊り橋をわたる。

そこから、今度はトンネルを潜って、高瀬ダムへ。

高瀬ダムではタクシーが待っていたが、
七倉までは2000円以上かかるらしいので、
約5kmの車道を歩き、節約。(笑)

湯俣山荘に泊まっていたという釣り師のおじさんと途中から
一緒に歩いて、七倉へと歩いていった。

通常なら2泊3日らしい?コースを、仕方なく1泊2日で歩いた。
歩けはしたけど、俺的には烏帽子にもう一泊し、下山したかった。
まぁ、でも、そうしてたら、2日目に野口五郎泊まりで、
3日目に湯俣山荘経由で下山、いや、水晶岳ピストンで、
湯俣山荘下山だったかもしれない?(笑)
いずれにせよ、ゆっくりはできなかったか…?

それはさておき、本当に楽しい山歩きだった。
念願の船窪小屋に泊まれたし、梅雨明け後すぐの夏山を
存分に満喫できた。
また機会を見つけて、1泊2日で行けるようなコースを見つけ、
いろんなところを歩いてみたい。
そして、船窪小屋にも再訪したい。

出逢うことができたみなさん、楽しい山旅をありがとう。
山よ、ありがとう。



[コースタイム]
船窪小屋(-/6:15)〜七倉岳(6:24/6:33)〜船窪乗越(6:56)〜
船窪岳(7:08/7:13)〜船窪岳第2ピーク(7:59/8:08)〜
不動岳(9:40/10:00)〜南沢岳(10:55/11:02)〜烏帽子岳分岐(11:40)〜
烏帽子岳(12:00/12:05)〜烏帽子岳分岐(12:17)〜
前烏帽子岳(12:27/12:30)〜烏帽子小屋(12:38/12:55)〜
2208.5m三角点(13:20)〜濁沢出合(14:20)〜
高瀬ダム(14:45/14:54)〜七倉(15:52/-)
by torajiro-joshu | 2012-07-30 23:59 | 山歩き

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu