2012年 07月 30日
船窪岳〜烏帽子岳縦走 2日目(船窪小屋〜烏帽子岳〜七倉)
前日の夕食後から降り出した雨は、雷を伴い、時に強く降り、
一晩中ゴロゴロと雷鳴を響かせていた。
夜中何度も目を覚ます度に耳にする雷鳴は、
俺を不安にさせた。
天気は大丈夫か?
しっかり行動できるか?
陽がのぼる前に、寝室の窓から不動岳方面を見ると、
ぼんやりとした視界の中でも、晴れているような感じだった。
古河市から来たという、隣のおじさんが言う。
「晴れてるよ」と。
急いで飛び起き、外に出る。
槍ヶ岳が綺麗なシルエットとなっている。
東の空はイマイチで、綺麗な日の出は見ることができない。
雲海に覆われ、大町方面は雲の底に沈んでいる。
それでも、そのグラデーションの美しさに
自然と笑みがこぼれた。
本日歩くコースに目を見遣れば、不動岳が大きい!
ぐるっと円を描くように不動岳に向かい、
更にはその奥へ進むようにして、中央の烏帽子岳へと向かう。
結構遠い…。
しかも、本日の行程はそこで終わりではない。
烏帽子から、日本三大急登の一つと言われる、ブナ立尾根を下るのだ。
コースタイム的に言えば、烏帽子までで行程の
おおよそ2/3が終わったに過ぎない。
それでも、烏帽子に向かったら下山方法はそれしかないので、
腹を決めて(笑)、コースでのタイムスケジュールをおおまかに
頭の中で計算する。
簡単に考えれば、12時烏帽子到着で楽勝ライン。
あとは高瀬ダムに下山して、更にはそこから七倉へも
車道を歩いて戻れるだろう。
とは言え、「烏帽子、針ノ木方面に向かう方は朝食は一番の5時からです!」
というアナウンスがあったにも関わらず、何故か俺だけ!?二番手…。
まぁ、ゆっくりできるからいいけど…。
↑余裕ぶっこいていて大丈夫か!?俺…。
このコース歩いたことないのに…。
ちょっと出発が遅れる為、13時烏帽子到着に設定し直す。
針ノ木小屋の朝食
わわっ!温泉卵!
山小屋で温泉卵なんて初めて!
大感激だ!
ワシワシと、今日の活動の為、普段の倍の二膳の飯を食らう。
とてもおいしい朝ご飯だった。
しか〜し、超個人的なことを言わせていただく。(苦笑)
ラッキョウだけはダメだ…。
残しては失礼だし、ゴミになるので仕方なく食べたが、
やはり、あれだけはダメだ…。(涙)
俺の一番苦手な食べもんだな…。
準備を整え、小屋のみなさん、隣のおじさんに挨拶し、出発。
出発間際、鐘を鳴らし、送り出してくれた。
船窪小屋を振り返る。
本当に素敵な山小屋だった。
ずっとずっと来てみたい!泊まってみたい!と思っていた。
そして、本当に、来れてよかったと思う山小屋だった。
また近いうち(民主党的言い回しではない!笑)に再訪することを心に誓った。
先ずは七倉岳へ登頂。
小屋からは少し行ったところにある。
さぁ、気を引き締めて!
長い道のり、烏帽子を目標に進むぞ!
……。
あれっ!?道がない…。
七倉岳頂上から直に船窪岳へと向かうルートがあるものと
ばかり思い込んでいた。
間違えて針ノ木方向に進むこと2〜3分。
あやしさに気付き、七倉岳の頂上へと戻る。
正規のルートはキャンプ場のところから繋がってるんだった…。
ここで多少のタイムロス…。
けれど、間違ったおかげで、七倉岳の先で雷鳥を見ることができた。
まぁ、ヨシとしよう!(笑)
七倉ダム!?方面を見る。
こうみると、すぐにでも行けそうだが…。
キャンプ場への分岐から、烏帽子への道に進む。
キャンプ場に着くまでにも、梯子の急勾配がある。
前日の水汲みに行った時同様、慎重に下る。
キャンプ場から先は、より一層ひっそりとした雰囲気になる。
崩壊面のすぐ上や、その裏を通って、船窪岳へと向かう。
中央の崩壊面のすぐ上が船窪岳。
その奥が船窪岳第2ピーク。
わかってはいるが、結構アップダウンが激しい…。
進行方向左を見れば、右に大きな不動岳。
取り敢えず、烏帽子が目標とは言え、それ以前に、
あの大きな不動岳も越えねば…。
何度もある、そこそこ大きなアップダウンに、
体力よりも精神力の方がキツそう…。
陽射しが強く、暑いし…。
崩壊面を覗く。
かなりの迫力。
ザラザラとしたように見える崩壊面は、
落ちたら、蟻地獄の如く、下まで呑み込まれそうで怖い。
船窪岳頂上へ。
七倉岳付近で迷った為、少しタイムロスしたが、まぁ、そこそこか…。
それにしても、凄い頂上。
山頂標識のすぐ脇は、もう完全に崩壊している。
もしかしたら、何年か後には、頂上が後退してるかもしれない…。
ここから先は、更に険しい道に…。
かなり痩せた道。
一番狭い中央部分は、幅が僅か1mほどか…。
樹間から針ノ木岳が覗く。
このコース、主に樹林帯歩きだが、それ故、時折山々が見えると、
より一層嬉しく思える。
崩壊面の本当にすぐ上。
こんなところも歩く。
樹林帯を歩くうちに、いつしかガスに被われ、
昨日泊まった船窪小屋方面さえも見えなくなった。
至極残念…。
しかし、これは、振り返ってみれば、これで良かったのかもしれない。
熱い陽射しがない分、と言っても、陽が出たり出なかったりだったが、
総じてガスに被われている為、比較的キツくはなかった。
それでも、大量に汗をかいた分、大量に水分を必要としたことを考えれば、
もしカンカン照りだったら…と、ゾッとする思いだ。
ピーカンだったら、烏帽子で水を購入せねばならなかったかも…。
不動岳頂上。
歩いている間は、ものすごく存在感があったけれど、
頂上まで来ると、意外におとなしめな感じ。
頂上には烏帽子に向かう人、船窪に向かう人で交錯し、
自分を含め6人いた。
しかし、山ガールなんて全然いない。
平均年齢は50代後半くらいか…。
さすがに玄人好みのするようなコースだけのことはある。
それだけに、静かな山歩きができ、とてもいい。
まぁ、若くて綺麗なおねーちゃんがいれば、それはそれでいいけど…。(笑)
南沢岳へと続く稜線。
意外に遠いなぁ。
雲がどんどん湧いてくる。
夏山の午後といった感じ。
(まだ、全然午前中だけど…。)
不動岳頂上近くの、コマクサの群落。
あまり有名ではないだろうけど、結構な群落。
今が盛りと咲くコマクサはどれもとても綺麗。
時間があれば、のんびり写真でも撮りながら、
散策気分で歩きたかった。
快適な稜線歩きから、再び樹林帯歩きへ…。
乗越に向けて降下してゆく。
そして、再び登り返す。
なかなかシビレルぜ。
これまた、凄いところにある道。
普通では落っこちないとは思うが、転がったら…。
南沢岳頂上
三角点はあるが、標識もなく、えっ!ここ!?って感じ。
標識くらいあってもいいとは思うが…。
頂上に立った時、南沢奈央ちゃんって、
結構カワイイよなぁ…なんて、ふと思った。
どうでもいいことかもしんないけど…。(笑)
ちょいと休んで、烏帽子岳へ向かうことにする。
ここでも頂上近くにはコマクサの群落。
(写真にはないけど…。)
かなり沢山咲いていて、登山道のすぐ脇でも咲いている。
なるべく登山道の中央を歩くようにして、
コマクサを踏みつけぬよう気をつける。
ここはイイ!
コマクサがいっぱい咲いているのに、登山者があまり来ない。
だから、踏み荒らされることもほとんどなく、
綺麗に咲いていけるんだろう。
アプローチも大変だけど、それ故、花にはいい条件なんだろうな。
いつまでも静かな、こんなとこがあってもいいだろう。
なだらかな道をゆくと、風景が一変。
烏帽子が間近に見えるところまで来た。
烏帽子、岩の塊だな…。
ここが烏帽子田圃と言われるところか?
大小いくつもの池塘が点在し、雰囲気は黒部五郎カールの底に
似ているような…。
この雰囲気、実にイイ!
烏帽子田圃の風景を楽しみながら歩く。
徐々に大きくなる烏帽子の姿にコーフンする。
烏帽子岳分岐付近より烏帽子岳。
デ、デカいじゃん!
正に岩の塊やん!
あれ、本当に20分で登れるのか!?
緑もあるけれど、槍ヶ岳の岩岩した姿に勝るとも劣らない大迫力!
全体的に岩岩してるけれど、最後の基部!?からは、
鎖で直上し、トラバース、更に直上。
すると、頂上付近に立つことができる。
そこから、ほんの少し登ると、岩と岩の間に標識がある。
一応、そこを頂上と呼んでいるのだろうか?
そこから更に数m攀じ登ると、猫耳状のピークとなり、
標識を背にして、左が正に最高点。
その最高点はかなり際どく、人が…、まぁ、慣れた人なら立てるかな?
けれど、落ちたら、極めてヤバい。
運悪く、ポツリポツリと小さな雨粒も落ちてきた。
なので、俺は、本当の最高点のちょい手前まで登り、
そこにタッチするにとどめておいた。
ちなみに、最高点(定義が難しいが…。)の広さは、
椅子の座面ひとつ分もない。
そういう意味では、槍ヶ岳よりも遥かに遥かに尖ったピークである。
また行く機会があるなら、今度は最高点に立ってみたいなぁ。(笑)
標識より下には、比較的広い一枚岩の場所もあるので、
そこで少し休もうとも思ったが、雨粒がさっきより多く落ちてきた。
なので、そそくさと下山。
しかし、基部!?に戻る頃には、もう落ちていなかった…。
なんだったんだ!?あの雨粒…。
分岐まで戻り、そこから前烏帽子へ…。
前烏帽子から、今日歩いて来た道を振り返る。
烏帽子〜南沢岳〜不動岳の山並が一望できた。
やはり、なかなか大きいし、アップダウンもある。
結構歩いたなぁ。
しかし、感慨に耽ってる暇はない。これから下山が待っている。
コースタイムでは、高瀬ダムまで3時間半はかかる…。
そして、そこから七倉まで車道を歩けば、更に1時間以上…。
未だ1/3も行程が残っているのだ…。
気をひきしめてゆく。
その前に、烏帽子小屋にて、船窪小屋特製のおにぎりをひとつ食らう。
赤米に梅干しのおにぎりがしみる。
栄養補給し、下山する前に、
昨日船窪小屋で一緒だった青年を探してみたが、
本日はテント泊ということなので見つけられず、
そのまま下山することにする。
日本三大急登の一つと言われるブナ立尾根は、
小屋からは一旦登って、あとは急降下。
高瀬ダムまでは1300m近くの標高差。
そこをなんとはなしに一気下り。
途中、濁沢で水場があると思ったが、見つけられず通過。
ダム手前で、3Lの水を飲み干してしまった。
まさかとは思ったが、前半のあまりの暑さに、
水分摂取が激しかったらしい。
弱ったとは思ったが、こんな時の為に、
コンタクトレンズ洗浄用の水を余しておいた。
約400mlあるので、それを飲用に転用。
これで一安心だ。
仮の橋を渡り、高瀬ダムへ。
ただ、この道は意外に分かり難い。
(俺がペインティングを見落としただけか?)
橋を渡り、左斜め前方の丸い山方面に向かうと、
ダム方面へはすんなり行けたよう。
途中で、大きな吊り橋をわたる。
そこから、今度はトンネルを潜って、高瀬ダムへ。
高瀬ダムではタクシーが待っていたが、
七倉までは2000円以上かかるらしいので、
約5kmの車道を歩き、節約。(笑)
湯俣山荘に泊まっていたという釣り師のおじさんと途中から
一緒に歩いて、七倉へと歩いていった。
通常なら2泊3日らしい?コースを、仕方なく1泊2日で歩いた。
歩けはしたけど、俺的には烏帽子にもう一泊し、下山したかった。
まぁ、でも、そうしてたら、2日目に野口五郎泊まりで、
3日目に湯俣山荘経由で下山、いや、水晶岳ピストンで、
湯俣山荘下山だったかもしれない?(笑)
いずれにせよ、ゆっくりはできなかったか…?
それはさておき、本当に楽しい山歩きだった。
念願の船窪小屋に泊まれたし、梅雨明け後すぐの夏山を
存分に満喫できた。
また機会を見つけて、1泊2日で行けるようなコースを見つけ、
いろんなところを歩いてみたい。
そして、船窪小屋にも再訪したい。
出逢うことができたみなさん、楽しい山旅をありがとう。
山よ、ありがとう。
[コースタイム]
船窪小屋(-/6:15)〜七倉岳(6:24/6:33)〜船窪乗越(6:56)〜
船窪岳(7:08/7:13)〜船窪岳第2ピーク(7:59/8:08)〜
不動岳(9:40/10:00)〜南沢岳(10:55/11:02)〜烏帽子岳分岐(11:40)〜
烏帽子岳(12:00/12:05)〜烏帽子岳分岐(12:17)〜
前烏帽子岳(12:27/12:30)〜烏帽子小屋(12:38/12:55)〜
2208.5m三角点(13:20)〜濁沢出合(14:20)〜
高瀬ダム(14:45/14:54)〜七倉(15:52/-)
一晩中ゴロゴロと雷鳴を響かせていた。
夜中何度も目を覚ます度に耳にする雷鳴は、
俺を不安にさせた。
天気は大丈夫か?
しっかり行動できるか?
陽がのぼる前に、寝室の窓から不動岳方面を見ると、
ぼんやりとした視界の中でも、晴れているような感じだった。
古河市から来たという、隣のおじさんが言う。
「晴れてるよ」と。
急いで飛び起き、外に出る。
槍ヶ岳が綺麗なシルエットとなっている。
東の空はイマイチで、綺麗な日の出は見ることができない。
雲海に覆われ、大町方面は雲の底に沈んでいる。
それでも、そのグラデーションの美しさに
自然と笑みがこぼれた。
本日歩くコースに目を見遣れば、不動岳が大きい!
ぐるっと円を描くように不動岳に向かい、
更にはその奥へ進むようにして、中央の烏帽子岳へと向かう。
結構遠い…。
しかも、本日の行程はそこで終わりではない。
烏帽子から、日本三大急登の一つと言われる、ブナ立尾根を下るのだ。
コースタイム的に言えば、烏帽子までで行程の
おおよそ2/3が終わったに過ぎない。
それでも、烏帽子に向かったら下山方法はそれしかないので、
腹を決めて(笑)、コースでのタイムスケジュールをおおまかに
頭の中で計算する。
簡単に考えれば、12時烏帽子到着で楽勝ライン。
あとは高瀬ダムに下山して、更にはそこから七倉へも
車道を歩いて戻れるだろう。
とは言え、「烏帽子、針ノ木方面に向かう方は朝食は一番の5時からです!」
というアナウンスがあったにも関わらず、何故か俺だけ!?二番手…。
まぁ、ゆっくりできるからいいけど…。
↑余裕ぶっこいていて大丈夫か!?俺…。
このコース歩いたことないのに…。
ちょっと出発が遅れる為、13時烏帽子到着に設定し直す。
針ノ木小屋の朝食
わわっ!温泉卵!
山小屋で温泉卵なんて初めて!
大感激だ!
ワシワシと、今日の活動の為、普段の倍の二膳の飯を食らう。
とてもおいしい朝ご飯だった。
しか〜し、超個人的なことを言わせていただく。(苦笑)
ラッキョウだけはダメだ…。
残しては失礼だし、ゴミになるので仕方なく食べたが、
やはり、あれだけはダメだ…。(涙)
俺の一番苦手な食べもんだな…。
準備を整え、小屋のみなさん、隣のおじさんに挨拶し、出発。
出発間際、鐘を鳴らし、送り出してくれた。
船窪小屋を振り返る。
本当に素敵な山小屋だった。
ずっとずっと来てみたい!泊まってみたい!と思っていた。
そして、本当に、来れてよかったと思う山小屋だった。
また近いうち(民主党的言い回しではない!笑)に再訪することを心に誓った。
先ずは七倉岳へ登頂。
小屋からは少し行ったところにある。
さぁ、気を引き締めて!
長い道のり、烏帽子を目標に進むぞ!
……。
あれっ!?道がない…。
七倉岳頂上から直に船窪岳へと向かうルートがあるものと
ばかり思い込んでいた。
間違えて針ノ木方向に進むこと2〜3分。
あやしさに気付き、七倉岳の頂上へと戻る。
正規のルートはキャンプ場のところから繋がってるんだった…。
ここで多少のタイムロス…。
けれど、間違ったおかげで、七倉岳の先で雷鳥を見ることができた。
まぁ、ヨシとしよう!(笑)
七倉ダム!?方面を見る。
こうみると、すぐにでも行けそうだが…。
キャンプ場への分岐から、烏帽子への道に進む。
キャンプ場に着くまでにも、梯子の急勾配がある。
前日の水汲みに行った時同様、慎重に下る。
キャンプ場から先は、より一層ひっそりとした雰囲気になる。
崩壊面のすぐ上や、その裏を通って、船窪岳へと向かう。
中央の崩壊面のすぐ上が船窪岳。
その奥が船窪岳第2ピーク。
わかってはいるが、結構アップダウンが激しい…。
進行方向左を見れば、右に大きな不動岳。
取り敢えず、烏帽子が目標とは言え、それ以前に、
あの大きな不動岳も越えねば…。
何度もある、そこそこ大きなアップダウンに、
体力よりも精神力の方がキツそう…。
陽射しが強く、暑いし…。
崩壊面を覗く。
かなりの迫力。
ザラザラとしたように見える崩壊面は、
落ちたら、蟻地獄の如く、下まで呑み込まれそうで怖い。
船窪岳頂上へ。
七倉岳付近で迷った為、少しタイムロスしたが、まぁ、そこそこか…。
それにしても、凄い頂上。
山頂標識のすぐ脇は、もう完全に崩壊している。
もしかしたら、何年か後には、頂上が後退してるかもしれない…。
ここから先は、更に険しい道に…。
かなり痩せた道。
一番狭い中央部分は、幅が僅か1mほどか…。
樹間から針ノ木岳が覗く。
このコース、主に樹林帯歩きだが、それ故、時折山々が見えると、
より一層嬉しく思える。
崩壊面の本当にすぐ上。
こんなところも歩く。
樹林帯を歩くうちに、いつしかガスに被われ、
昨日泊まった船窪小屋方面さえも見えなくなった。
至極残念…。
しかし、これは、振り返ってみれば、これで良かったのかもしれない。
熱い陽射しがない分、と言っても、陽が出たり出なかったりだったが、
総じてガスに被われている為、比較的キツくはなかった。
それでも、大量に汗をかいた分、大量に水分を必要としたことを考えれば、
もしカンカン照りだったら…と、ゾッとする思いだ。
ピーカンだったら、烏帽子で水を購入せねばならなかったかも…。
不動岳頂上。
歩いている間は、ものすごく存在感があったけれど、
頂上まで来ると、意外におとなしめな感じ。
頂上には烏帽子に向かう人、船窪に向かう人で交錯し、
自分を含め6人いた。
しかし、山ガールなんて全然いない。
平均年齢は50代後半くらいか…。
さすがに玄人好みのするようなコースだけのことはある。
それだけに、静かな山歩きができ、とてもいい。
まぁ、若くて綺麗なおねーちゃんがいれば、それはそれでいいけど…。(笑)
南沢岳へと続く稜線。
意外に遠いなぁ。
雲がどんどん湧いてくる。
夏山の午後といった感じ。
(まだ、全然午前中だけど…。)
不動岳頂上近くの、コマクサの群落。
あまり有名ではないだろうけど、結構な群落。
今が盛りと咲くコマクサはどれもとても綺麗。
時間があれば、のんびり写真でも撮りながら、
散策気分で歩きたかった。
快適な稜線歩きから、再び樹林帯歩きへ…。
乗越に向けて降下してゆく。
そして、再び登り返す。
なかなかシビレルぜ。
これまた、凄いところにある道。
普通では落っこちないとは思うが、転がったら…。
南沢岳頂上
三角点はあるが、標識もなく、えっ!ここ!?って感じ。
標識くらいあってもいいとは思うが…。
頂上に立った時、南沢奈央ちゃんって、
結構カワイイよなぁ…なんて、ふと思った。
どうでもいいことかもしんないけど…。(笑)
ちょいと休んで、烏帽子岳へ向かうことにする。
ここでも頂上近くにはコマクサの群落。
(写真にはないけど…。)
かなり沢山咲いていて、登山道のすぐ脇でも咲いている。
なるべく登山道の中央を歩くようにして、
コマクサを踏みつけぬよう気をつける。
ここはイイ!
コマクサがいっぱい咲いているのに、登山者があまり来ない。
だから、踏み荒らされることもほとんどなく、
綺麗に咲いていけるんだろう。
アプローチも大変だけど、それ故、花にはいい条件なんだろうな。
いつまでも静かな、こんなとこがあってもいいだろう。
なだらかな道をゆくと、風景が一変。
烏帽子が間近に見えるところまで来た。
烏帽子、岩の塊だな…。
ここが烏帽子田圃と言われるところか?
大小いくつもの池塘が点在し、雰囲気は黒部五郎カールの底に
似ているような…。
この雰囲気、実にイイ!
烏帽子田圃の風景を楽しみながら歩く。
徐々に大きくなる烏帽子の姿にコーフンする。
烏帽子岳分岐付近より烏帽子岳。
デ、デカいじゃん!
正に岩の塊やん!
あれ、本当に20分で登れるのか!?
緑もあるけれど、槍ヶ岳の岩岩した姿に勝るとも劣らない大迫力!
全体的に岩岩してるけれど、最後の基部!?からは、
鎖で直上し、トラバース、更に直上。
すると、頂上付近に立つことができる。
そこから、ほんの少し登ると、岩と岩の間に標識がある。
一応、そこを頂上と呼んでいるのだろうか?
そこから更に数m攀じ登ると、猫耳状のピークとなり、
標識を背にして、左が正に最高点。
その最高点はかなり際どく、人が…、まぁ、慣れた人なら立てるかな?
けれど、落ちたら、極めてヤバい。
運悪く、ポツリポツリと小さな雨粒も落ちてきた。
なので、俺は、本当の最高点のちょい手前まで登り、
そこにタッチするにとどめておいた。
ちなみに、最高点(定義が難しいが…。)の広さは、
椅子の座面ひとつ分もない。
そういう意味では、槍ヶ岳よりも遥かに遥かに尖ったピークである。
また行く機会があるなら、今度は最高点に立ってみたいなぁ。(笑)
標識より下には、比較的広い一枚岩の場所もあるので、
そこで少し休もうとも思ったが、雨粒がさっきより多く落ちてきた。
なので、そそくさと下山。
しかし、基部!?に戻る頃には、もう落ちていなかった…。
なんだったんだ!?あの雨粒…。
分岐まで戻り、そこから前烏帽子へ…。
前烏帽子から、今日歩いて来た道を振り返る。
烏帽子〜南沢岳〜不動岳の山並が一望できた。
やはり、なかなか大きいし、アップダウンもある。
結構歩いたなぁ。
しかし、感慨に耽ってる暇はない。これから下山が待っている。
コースタイムでは、高瀬ダムまで3時間半はかかる…。
そして、そこから七倉まで車道を歩けば、更に1時間以上…。
未だ1/3も行程が残っているのだ…。
気をひきしめてゆく。
その前に、烏帽子小屋にて、船窪小屋特製のおにぎりをひとつ食らう。
赤米に梅干しのおにぎりがしみる。
栄養補給し、下山する前に、
昨日船窪小屋で一緒だった青年を探してみたが、
本日はテント泊ということなので見つけられず、
そのまま下山することにする。
日本三大急登の一つと言われるブナ立尾根は、
小屋からは一旦登って、あとは急降下。
高瀬ダムまでは1300m近くの標高差。
そこをなんとはなしに一気下り。
途中、濁沢で水場があると思ったが、見つけられず通過。
ダム手前で、3Lの水を飲み干してしまった。
まさかとは思ったが、前半のあまりの暑さに、
水分摂取が激しかったらしい。
弱ったとは思ったが、こんな時の為に、
コンタクトレンズ洗浄用の水を余しておいた。
約400mlあるので、それを飲用に転用。
これで一安心だ。
仮の橋を渡り、高瀬ダムへ。
ただ、この道は意外に分かり難い。
(俺がペインティングを見落としただけか?)
橋を渡り、左斜め前方の丸い山方面に向かうと、
ダム方面へはすんなり行けたよう。
途中で、大きな吊り橋をわたる。
そこから、今度はトンネルを潜って、高瀬ダムへ。
高瀬ダムではタクシーが待っていたが、
七倉までは2000円以上かかるらしいので、
約5kmの車道を歩き、節約。(笑)
湯俣山荘に泊まっていたという釣り師のおじさんと途中から
一緒に歩いて、七倉へと歩いていった。
通常なら2泊3日らしい?コースを、仕方なく1泊2日で歩いた。
歩けはしたけど、俺的には烏帽子にもう一泊し、下山したかった。
まぁ、でも、そうしてたら、2日目に野口五郎泊まりで、
3日目に湯俣山荘経由で下山、いや、水晶岳ピストンで、
湯俣山荘下山だったかもしれない?(笑)
いずれにせよ、ゆっくりはできなかったか…?
それはさておき、本当に楽しい山歩きだった。
念願の船窪小屋に泊まれたし、梅雨明け後すぐの夏山を
存分に満喫できた。
また機会を見つけて、1泊2日で行けるようなコースを見つけ、
いろんなところを歩いてみたい。
そして、船窪小屋にも再訪したい。
出逢うことができたみなさん、楽しい山旅をありがとう。
山よ、ありがとう。
[コースタイム]
船窪小屋(-/6:15)〜七倉岳(6:24/6:33)〜船窪乗越(6:56)〜
船窪岳(7:08/7:13)〜船窪岳第2ピーク(7:59/8:08)〜
不動岳(9:40/10:00)〜南沢岳(10:55/11:02)〜烏帽子岳分岐(11:40)〜
烏帽子岳(12:00/12:05)〜烏帽子岳分岐(12:17)〜
前烏帽子岳(12:27/12:30)〜烏帽子小屋(12:38/12:55)〜
2208.5m三角点(13:20)〜濁沢出合(14:20)〜
高瀬ダム(14:45/14:54)〜七倉(15:52/-)
by torajiro-joshu
| 2012-07-30 23:59
| 山歩き