地蔵岳(赤城山)
頬に当たる風が冷たい。
駐車場付近の温度計はマイナス9℃を示していた。
よくトレースされた道は程よく締まっていて、
アイゼンをつけずとも歩き易い。
行けるところまで行って、必要となった時にアイゼンをつけようと思う。
かなり寒いのだが、快調に歩ける為、無雪期の山とさほど変わらないような
ペースで歩くと、汗がじんわりと出てきた。
汗冷えはしたくないので、ペースを落とす。
霧氷だか樹氷だかよくわからないが、白く化粧をした樹々が美しい。
広い頂上に出ると、それまでより風を強く受けるようになる。
頂上三角点付近の電波塔に当たる風が轟々と音をたてている。
頂上より北側は雪の影響か、どの山も頂は雲に隠れている。
登ってくる途中は雲がかかっていた黒檜山は、今はすっきり。
その下には大沼がよく見える。
いつものシーズンならワカサギの穴釣り客で賑やかなんだろうが、
この日はその姿はほとんど見えない…。
関東平野方面は霞んでしまっている。
それでも街は熊谷辺りまではなんとか見える。
山は、シルエットだけなら富士山も確認することができ、
八ヶ岳や筑波山もはっきり見える。
展望はイマイチのような気もするが、そこまで見えたのだから
贅沢は言えまい。
それにしても電波塔が多い…。
電波塔銀座といった感じか…。
電波塔は、間近に見ると、さすがにデカい。
そして、なんとなくSF映画的な風景。
マニアなら大喜びだろう。
その電波塔の下で風を除けながら、暫し物思いに耽る。
「いま ここ」
ふと、相田みつをさんの言葉が浮かぶ。
昨日の俺は死んだ。
所詮生き物は今しか生きられない。
生きてるのは今だけだ。
だからこそ、今年はもっと色々なことをやってみたり、
色々なことを磨き上げたりしよう。
「いま ここ」を心に留めながら…。
休んでいるうちに幾分風の強さが増してきたようだった。
来た道を間違えぬよう、転ばぬよう、下っていった。
[コースタイム]
見晴山駐車場(-/11:32)〜分岐(11:56)〜地蔵岳(12:08/13:09)〜
分岐(13:16)〜見晴山駐車場(13:27/-)