寅次郎がゆく!

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雲ノ平山行 5日目(双六小屋〜新穂高)

真夜中何度も目覚め、テントから顔を出す。
日付が変わる頃、夜空には星が現れていた。
入口から頭だけ出して、横になって、暫く星を眺めていた。

暫く、こんな綺麗な星空は見られないのか…。
また来る時にも、顔をみせておくれ。

朝、テントを雨と風が叩く。

昨日ほどではないが、またもや風を伴う雨とは…。

昨日の予報では、たしか、曇り後晴れの筈。
しかし、雲が厚く、晴れる気配は全くない。

今日は下山するだけなので、少しくらい出発は遅れても大丈夫だろう。
そう思い、テントの中で暫し出発を見合わせた。

やがて雨が止み、風だけとなったようなので、出発することにする。

寒い。
風が冷たいのだ。
やはり、山の上は確実に秋が近付いているようだった。
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双六池の先のゆるやかな登山道をゆく。

自分の出発が遅いせいもあるが、ほとんど登山者の姿はない。

みんな、雨の中のテントを撤収、パッキング。
本当にえらいなと思う。



遠望は全くきかず…。
黙々と歩くだけ。
けれど、時折見る高山植物が微笑む。
それに元気をもらう。
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花見平前の沼。

こんな所に沼があったとは、全く知らなかった。
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花見平。

ここは、花が綺麗なだけでなく、展望抜群らしいのだが…。

ガスってはいるものの、雨が降っているわけでもないので、
快調に下ってゆく。
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意外に早く、鏡平小屋に着いた。

ここで、ここ2〜3日よく顔を会わせた松本の女性に追いつく。

彼女もテントでの単独行だったが、俺以上に荷物がコンパクト。
その上、話をしてみると、野菜も担いできたらしく、
山での食生活も充実してたらしい。

俺も見倣わねばと思う。
荷物のコンパクト化に関してだけど…。
食生活は、俺の場合、我慢だなぁ。

この小屋の名物はかき氷らしいが、それを食べるような陽気ではない。
手拭いだけ購入し、諦める。
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鏡池。

昨日の予定では、ここに映る槍〜穂の稜線を眺め、
それを充分満喫した後下山のつもりだったのだが…。

待ってもダメだと思い、あっさり下山することにする。

天気イマイチ、その上、明日からは北アルプスの天気はかなり荒れるらしいのに、
結構な数の登山者が登ってくる。
おそらく展望は全く期待できないだろうに…。
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シシウドヶ原

眼下に川が見える。
下の方は明るい。

下界は晴れているのか…?
ここだけ曇りなのか…?
槍〜穂の稜線辺なら晴れているのか…?

ちょっぴり悔しい気持ちを持ちつつ、更に下る。
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イタドリヶ原から雪渓を見る。

かなりの急斜面、かなりの迫力。
なんとなく、あの下迄行ってみたい衝動に駆られる。

しかし、思うだけで、更に更に下る。

すると…、途中から雨が降り出す。
しかも、結構雨粒が大きい…。

カッパの上だけ着て、下る。

途中で、千葉のスキーヤーに追い付く。
彼は膝が悪いらしいが、その割には早い。
少しだけ話をして、また再会することを約束し、別れた。

結局、彼とは平湯のバス・ターミナルで再会し、
以後、松本までバスで御一緒することになる。
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秩父沢の橋の袂にて…。

みんな、意外に暢気に休んでいる。
雨が降っている時の沢で、もしものことを考えないのだろうか…?

雨が降ってきたので、更にペース・アップし、ひたすら下る。

小池新道登山口でカッパを脱ぎ、しまうが、
以後も降ったりやんだり…。

小池新道からは、広い林道歩き。
上高地〜横尾間の道と同じで、ちょっと退屈な気分になる。
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ワサビ平小屋。

ワサビ平は小池新道登山口から意外に遠かった。

ここで何か昼飯を…とも思ったが、時間が未だ早いこともあるし、
新穂高まで下山し、バスの出発待ち迄のんびり風呂に入ることにし、
そこで昼飯を摂ることにする。

ゆるやかな林道を、降ったりやんだりする雨に叩かれながら、
俺はひたすら下っていった。
過ぎ去った少年の日を思いながら…。



今回、20年振りのテント泊縦走。
3泊以上の山行も20年振りだった。

原発事故後、全くトレーニングをしなくなり(もともとほとんどしてないが…。)、
体力面で少々不安があった。

現状の体力も、おそらく全盛時の60〜70%位な感じがしてたし、
それ以前に4泊5日テント縦走の荷物が担げるのかも不安要素となっていた。

そこそこの軽量化をし(残念ながら、徹底した…ではない。)、
荷物もコンパクトになったので歩けた気がするが、
20年前のような、大きく重い山道具ばかりなら、かなりキツかったと思う。

荷物の軽量化、コンパクト化に加え、
山行前に色々な情報を山仲間からいただいたり、
参考となる、山仲間のブログを拝見したりしたお陰で、
多少の不安を抱えつつも、楽しい山行ができた気がする。

現地では楽しい登山者に恵まれ、
山行中でも大切な仲間達からメールをいただいたりして、
人と人との繋がりを感じさせられた、印象的な山行だった。

山にいて、自分と向き合う時間が多いからこそ、
人の有り難みがわかる気がする。
同時に、自分にとって大切な人も大切なこともわかる気がする。

独りで登っているようでいて、独りで登ってはいない。
多くの仲間や大切な人、家族、愛犬と登っているような
気がした時もあった。

彼、彼女等に感謝。
また、現地で知り合った気の合う登山者にも感謝。
山小屋スタッフにも感謝である。

少年の日に憧れた山歩きは終わり、
今回ここで初めて、自分も少しは山の男になれた気がした。

これからも山歩きは続く。
楽しく、歩き続けられる限り、生涯現役で山歩きを続けてゆきたい。



[コースタイム]
双六小屋(-/6:52)〜くろゆりベンチ(7:19/7:24)〜弓折乗越(7:39)〜
鏡平山荘(8:00/8:07)〜シシウドヶ原(8:28)〜イタドリヶ原(8:41/8:46)〜
[雨宿り](8:51/8:58)〜秩父沢(9:11)〜ワサビ平小屋(9:50/10:04)〜
新穂高バス・ターミナル(10:52/-)
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Commented by でん at 2011-09-01 00:43 x
今回の山行きが感慨深いものだったこと。
そして寅次郎さんがナイーブでロマンチックな方なのが良~くわかりましたヨ(^^)
これからも寅次郎さんの記事を読むのを楽しみにしています!
Commented by むかしむかし at 2011-09-01 12:41 x
寅次郎様

自分と向き合う充実した時間を持てた素敵な5日間の山行でしたね
急峻な挑むような岩はありませんが
雄大な風景に包まれてながら歩く穏やかかなコースですね

私も、若いころと違って緑豊かな雄大な風景のなかに身を置いて
のんびり広い空を眺めるのが山の楽しみになってきました。

私のイチオシの双六からの地球の丸みを感じられる景色
鏡池に映る槍穂高の峰々
残念でしたね。次回ぜひ見てください。

私もドクターストップが解けたのでそろりそろりと
秋色の山に出かけくなりました。
Commented by takebow at 2011-09-01 17:08 x
すてきな御写真をありがとうございます。自分も山に行けたみたいに錯覚できました。
Commented by くに at 2011-09-01 19:43 x
充実の山行でしたね

独りで登っているようでいて、独りで登ってはいない。
多くの仲間や大切な人、家族、愛犬と登っているような
気がした時もあった
この気持ち、よくわかります 
改めて、虎次郎さんは詩人だなと思いました

満天の星空の下、顔だけ出して・・・
私も同じ事をしましたよ
星座側から二ほど多くの星。真っ白の天の川
又見に行きたいな~と思いました

雨の日のテント撤収はつらいですね
山谷の親父に、大きいゴミ袋を持っていき、雨がひどいときはとりあえずそれにぶっこんで、さっさと撤収するしかない と教わり
奥穂で、夜通し降った朝の撤収をさっと済ませたことを思い出しました

鏡池は残念でしたね
良かったら、昨年の笠ヶ岳のデジブックの中で見てください
http://www.digibook.net/d/bad4e3d381dcace0f05345724cd78722/?viewerMode=fullWindow
今週末の山は、あまりにのろのろの台風のおかげで、やめにしました
仕方ないとはいえ、一ヶ月ぶりの山がだめになって しょげてます(笑い)
Commented by torajiro-joshu at 2011-09-01 21:53
★でんさん、こんにちは。
全てご覧いただき、ありがとうございます。

えっ!私ですか…!?
私は普通のオッサンですよ。
多分、お会いすれば、きっとそんな風に思うと思いますよ。

これからもよろしくお願いします。
Commented by torajiro-joshu at 2011-09-01 22:08
★むかしむかしさん、こんにちは。
色々と情報、アドバイスいただき、ありがとうございます。

天気最高とはいかなかったものの、のんびり楽しい、
充実した山行でした。
一日の行程も、そんなに長くもなかったですしね。
岩がカラカラ鳴る、岩稜歩きも好きですが、こんな穏やかな
山道をゆくのもいいですね。
機会あらば、いつかまた行きたいです。

>私のイチオシの双六からの地球の丸みを感じられる景色
鏡池に映る槍穂高の峰々
残念でしたね。次回ぜひ見てください。

これも本当に残念でした。
双六岳や鏡平なら雲ノ平よりも楽に行けるので、
いつか、むかしむかしさん御推奨の風景に会いにいきたいです。

ドクターストップは解けました?
では、秋山で御一緒できたらいいですね〜。
Commented by torajiro-joshu at 2011-09-01 22:12
★takebowさん、こんにちは。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

極私的山行記ですが、山の雰囲気が届いたのなら幸いです。

takebowさんの腰痛も早く良くなり、
また山歩きを存分に楽しめるといいですね。
Commented by torajiro-joshu at 2011-09-01 22:25
★くにさん、こんにちは。
最後迄ご覧いただき、ありがとうございます。

本当に、とても楽しく、充実した山行でした。

で、私は普通のオッサンですから…。
詩人でもなんでもなく、市塵くらいなもんです…。

>満天の星空の下、顔だけ出して・・・

これはテント泊ならでは…ですよね。
くにさんが見た星空も綺麗だったでしょうね。
自分もまた見たいです。


>山谷の親父に、大きいゴミ袋を持っていき、雨がひどいときはとりあえずそれにぶっこんで、さっさと撤収するしかない と教わり

なるほど…。
自分の場合は、小分けにしてビニール袋に入れ、
防水対策を取るのですが、雨の日には大きなビニール袋も利用
した方がいいかもしれないですね。
ただ、自分の場合、今回結構コンパクト化を目指したので、
ザックにあまり余裕がなく、その手はキツかったかもしれません。
その辺は、色々と考える余地がありますね。

くにさんのデジブック、拝見いたします。

一ヶ月ぶりの山行が台風で中止ですか…。
それは残念です。
計画してたのが流れるのは、とても悔しいですからね。
次回こそは晴天で、楽しく歩けるといいですね。
Commented by あひる at 2011-09-04 21:02 x
五日間の縦走お疲れ様でした。
この位歩きますと"あぁ、山を歩いたなぁ"としみじみ実感出来ますね。
また、下界から離れて、色々な事を考えながら自然の懐にいる幸せを実感出来ますね。
寅次郎さんの記録を読んで、鷲羽、黒部五郎に行きたくなりました。
最終日の曇天は、また来年来なさい、という鏡池からの命でしょうか。
一泊二日でのんびり鏡平もいいですね。

P.S.
詩人の寅次郎さん、相変わらず下りは超特急ですね。
下りのコースタイム、休憩除いてワタシと1分違いです。
という事はどれだけ飛ばしていたか・・・
が分かる気が・・・(^^;
Commented by torajiro-joshu at 2011-09-04 23:04
★あひるさん、こんにちは。
山行前、山行中と、色々ありがとうございます。

久々の(自分にとっては)長期縦走でしたが、
本当に楽しく、充実したものとなりました。

あひるさんの仰るように、かなり歩いた気がしましたね。
とはいえ、よく調べたら、5日で70km程度。
数字みたら、あんまり歩かなかった気がして、
もうちょっと歩けばよかったかな…なんて気持ちにもなりました。(笑)
でも、本当に楽しい5日間でしたね。

鷲羽は良かったですよ!
水晶には行かなかったけれど…。
あひるさんなら鷲羽も絶対に行きたくなる筈です。
是非とも、鷲羽〜水晶と歩いてみて下さい。
でも、そこまで行ったら、きっと赤牛にも行きたくなっちゃいますよ。(笑)

「のんびり鏡平」ですか!?
それもいいな〜。
でも、あの槍〜穂の稜線をみたら、ウズウズしちゃって、
のんびりできなくなりそうです。

俺の下りは早いんですかね?
最近、吾妻山での自己ベストを全然更新できないんですけど…。
でも、あひるさんと1分違い!?
それなら充分早いんでしょうね。
追い付けるよう、頑張ります!
by torajiro-joshu | 2011-08-17 23:59 | 山歩き | Comments(10)

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu