寅次郎がゆく!

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麦草峠〜天狗岳

麦草峠へと向かう途中、八ヶ岳の主稜線を見遣れば、
その上部だけが厚い雲に覆われている…。

なんだかイヤな予感…。

天気予報では、概ね晴れで、夕方から雨の予報だったのだが…。
この分だと、頂上での展望は期待できないかもしれない。

麦草峠に到着し、出発の準備を整える。

さて、出発!という時になって、大粒の雨がパラパラと落ちてくる。
仕方なく、車中で雨宿り。

30分程で雨はやんだ。
取り敢えず、行けるところまで行ってみることにする。

上空は真っ白なものの、視界はそれほど悪くはない。
ルート上のマークを見失うことはまずないだろう。
これなら足下さえ注意していれば、なんとかなりそうだ。

麦草峠から、まずは白駒池に向かう。
鬱蒼とした森の中は静かだ。
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白駒の奥庭に来ると、やはり、上部の方だけがガスに
包まれているのがよくわかった。



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苔におおわれた樹が、どっしりとした存在感を示していた。
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白駒池はガスに包まれている。

ここに来るまではさほど感じなかったが、風が強く、結構寒い。
レイン・ウェアの上だけ着込む。

それにしてもビミョーな天気だ。

最低でも天狗岳までは行きたい。
好天は望めない気もするので、実際どこまで行けるかわからない。
取り敢えず、にゅう経由で天狗岳に向かうことにする。

最初はかなり緩やかな道。

白駒湿原なる小さな湿原もある。
そこは花も咲いていなければ、草紅葉にも早い。
特別面白みはないが、静かなところがいい。

北八ヶ岳的な風景の、苔の多い樹林帯を歩いてゆく。

風はあるが、雨が降らないのは幸いだ。
視界も、道に迷うほどの悪さではない。

途中、下りてくる女性登山者と言葉を交わす。
上の状況を尋ねると、「視界は悪く、風が強い」とのこと。

それでも、その後の好天を期待し、前に進む。
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しかし、にゅうはガスに包まれていた…。

登ってはみたが、何も見えない。
50m程度位先しか見えないようだ…。
それにしても、寒い…。

少しでも風を除ける為に、登山道へと戻る。
少し休憩し、中山峠方面へと向かう。

にゅうから少し歩くと、途中で高年パーティが休憩していた。

挨拶をすると、にこやかに「おお、すごいね。初めて…」とおやっさん。
「……?(何がすごいんだ!?こんな天気の時に来るとは、もの好きということか?)
 いえ、二度目です」
「これから、どこに行くの?」
「まぁ、取り敢えず、天狗岳までは行こうと思ってます」
ここで、おばちゃんも加わり、
「えっ!?天狗岳方面!?あなた、どこから来たの?」
「麦草峠から入り、白駒池からにゅうに行って、ここまで来ましたけど…」
「えっ!?にゅうから…!?にゅうってこっちじゃないの!?(と俺の向かう方向を指す)
 私達、こっち(俺の向かう方向)から来たんだけど…」
「いえ、違いますよ。にゅうは僕の来た方向です」
「私達、稲子湯に下りたいんだけど…」
「じゃあ、僕の来た方向に向かうとにゅうに行きますから、その手前を左に
 折れれば、そこから稲子湯に向かう道に合流しますよ」
「え〜…!?じゃあ、私達、どこで迷ったんでしょう?」
「え〜と…、それはわかんないですけど…」
「じゃあ、私達、反対方向に行こうとしてたんですね!?」
「そうだと思います」
「あなたのおかげで助かったわ」
「ハハハ…。とにかく僕の来た方向に行くことです。お気をつけて!」

果たして、高年パーティは、俺が稲子岳から来たものと思っていたようだ。
それで、「すごいね」と…。
自分達が稲子岳からパーティで来ただけに、尚更そう思ったようだ。

バリエーション・ルートから一般登山道に入り、それをそれと認識しないまま
そこで休憩し、自分達の考えたにゅう方面(実際には正反対)に
向かおうとしていたようだ。

それにしても、180°方向が違うというのに…。
彼らはコンパスも持っていたのに、方向さえわからなかったのだろうか?

道を尋ねられた俺の方が不思議な気持ちになった。

彼らの、ある意味、道迷いに遭遇して、
凡そでもいいから、常に自分の現在位置を認識しておくことの重要性を感じた。
なぜならば、道迷いこそが遭難の引き金となることが
極めて多いというデータがあるからだ。

道迷いは一般登山道でも容易にあり得るということを知った。
他人事ではなく、自分も気をつけねばならないだろう。

地図を広げ現在位置を確認したり、デジカメ写真でにゅうの
風景を見せたりしていて立ち止まっていたので、意外に体が冷えた。

体を早くあたためるべく早足で歩こうと思ったが、
そんなことをするまでもなく、登りだったので、すぐに体はあたたまった。

中山峠まで着いた。
本当なら、天狗岳だけでなく硫黄岳の荒々しい姿が見える
筈だったのだが、生憎何も見えない。
おまけに、風が更に強くなっている。

正直言って、楽しい山歩きとは言い難い。
それでも、気を取り直し、天狗岳に向かう。

別に引き返してもいいのだが、充分に歩ける状況だし、
こういった状況でも歩かねばならないことは多々あるだろうから、
トレーニングと思って、そのまま歩くことにする。
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ナナカマドの実も赤くなっていた。

山はもう秋なんだなぁ…。
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雨に濡れるイワツメクサ。

なんだか心が和んだ。
健気に咲く姿に力をもらう。
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ウラシマツツジも色付いてきている。

やはり、確実に秋は近付いている。

真っ白で退屈な中を歩いてゆく時、
花や樹にいつも以上に目がいった気がする。
そう思うと、こんな山歩きも悪くないのかもしれない。

とは言え、中山峠手前から天狗岳までの稜線上の風はなかなか強く、
横からの風にあおられ、体が2〜3回横に持っていかれ、
バランスを崩しかける。
そこが痩せ尾根じゃないからいいものの、ちょっと危ない思いをした。
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頂上には誰もいなかった。
展望も全くきかない。

ほぼ同時期に山頂に着いた登山者はみな、すぐに下山していった。
俺は幾分風を除けられるところで昼飯を食べ、すぐに下山することにする。
本当は硫黄岳まで行きたかったが、もう好天が期待できないと思ったからだ。

登りの時にはそんなに感じなかったが、
下りでは大きな岩がとても歩き難い。
転けないように気をつけながら下ってゆく。

ふと佐久方面に目をやると…
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ガスが途切れ、にゅうが見える!
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稲子岳の荒々しい岩場も…。

真っ白な世界にいただけに、ちょこっとでも展望がきくと、すごく嬉しい。
欲を言うなら、スッキリと晴れてほしかったが、
まぁ、そこまでは望めまい…。
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中山峠付近から振り返ると、硫黄岳の東側だけがちょこっと見えた。
それ以上は見えなかったけれど…。

しかし、何故だか北から東にかけての遠望はきくようになり、
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荒船や妙義がはっきりとわかった。

部分的には遠望がきくようになったので、
中山、高見石経由で下山することにする。
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中山へと続く道は、樹林帯の中の、ダラダラとした長い道だった。
雨で濡れていた為、岩がとても滑り易く、かなりいやらしい感じだった。
晴れていれば、結構いい感じなんだろうけど…。

高見石に近付く頃には、視界もかなりよくなってきた。
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高見石に登ると、白駒池もよく見えた。

風がまだ強く、結構寒いものの、さすがに晴れていると気持ちいい。
暫しの休息を楽しんだ。
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高見石より高見石小屋を見下ろす。

かなり大きな岩が絶妙に積み重なる高見石。
よく崩れ落ちないもんだと思う。

森の中の小さな山小屋といった風情がなかなかいい。
おまけに、背後には、この見晴らしのいい高見石。
いつかここにも泊まってみたい。

小屋を後にし、白駒池経由で麦草峠まで戻ることにする。
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白駒池に戻ると、朝よりも遥かに天気が良く、池一面が見渡せた。
上空も雲が切れ、とてもいい感じ。

もうちょっと下山を遅くすれば良かったかな?と少し後悔する。
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麦草峠まであと少しのところまで来ると、茶臼山が頭を出していた。

下山したら、いい天気。
かなり悔しい。

でも、冷静にみてみれば、天気がいいのは北の方だけ。
天狗岳は未だガスにおおわれているだろう。

まぁ、巡り合わせで、こういう時もあるさ。
仕方ないよな。
また天気のいい時に来よう。
そして、その時は最低でも硫黄岳まで行ってみよう。

全体を通してイマイチの天気だったけど、
それなりに楽しい山歩きだった。



[コースタイム]
麦草峠(-/7:35)〜にゅう(8:56/9:07)〜天狗岳(10:26/10:44)
〜高見石(12:13/12:30)〜白駒池(12:52/12:59)〜麦草峠(13:25/-)
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Commented by くに at 2010-09-26 08:01 x
まずまず青空が戻ってきて良かったですね
訓練とはいえ、白い世界でお疲れ様でした
私は昨秋 稲子湯からにゅう経由で天狗へ
本沢温泉に泊まって あの小さな露天風呂に入ってきました
懐かしく思い出しました

それにしても、遭難者を出さずにすんで良かった
良いところで出会った寅次郎さんは救世主でしたね
話に夢中になってる叔母ちゃん達、
どこどこはどっち? と平気で聞いてきますからね
何度か驚いたことがありますよ

笠に行ったときは
新穂高のバスターミナルで
警察官相手に案内の地図の前で
今からどこに登ったらいいですかね?
と聞いている中年夫婦 唖然としましたよ
警察官も、やめさせればいいのに
独標まで何とか行けるかな?
焼岳往復もいいですよ だとか行っていた
行き先決めずに山登りなんて信じられないですよね

Commented by あひる at 2010-09-26 11:38 x
晴れも曇りも雨もガスも、山の顔ですから、
その時々に小さな発見があれば"ヨシ"ですよね。
まして北八ツなら・・・
ガスとか雨の中を歩いていると、
高山植物がとても目につきますし、本当に癒されます。
頑張って歩こう、という気にさせられたりしますね。

方向を間違えていたパーティ凄いですねぇ。
稲子岳から来たのなら、にゅうの横を通り過ぎちゃっていたのですかね?

私の衝撃体験は・・・前に明神で、登山の格好をした方に
明神岳を指さして「あれは槍ヶ岳ですか?」と
聞かれた事があります(^^;。
Commented by takebow at 2010-09-27 17:06 x
北八ツにはガスが良く似合う。とても北八ツの雰囲気が伝わる素晴らしい山行記です。寅次郎さん的にはご不満かも知れませんが、とても良い写真の数々に素敵な山行だったんだなぁと思いました。それにしてもペースが速くて感服致しました。
Commented by torajiro-joshu at 2010-09-27 21:26
★くにさん、こんにちは。
「青空」は下山口近くに戻ってきてからだったですけど…。
まぁ、それでも、白いままよりは良かったですね。(笑)

そう言えば、くにさんも昨年あの辺に行かれたんでしたね。
自分も本沢温泉に泊まって、ノンビリしたいもんです。

あのパーティは軽い道迷いで、俺は「救世主」という
ほどのもんではありませんよ。
彼らはあのまま迷ったとしても、中山峠手前の分岐で
現在地を把握できたことでしょう。

新穂高のバスターミナルでの一件、なかなかスゴいですね。(笑)
何と言っていいのやら…。
Commented by torajiro-joshu at 2010-09-27 21:41
★あひるさん、こんにちは。
さすが、あひるさん!
ヘタレ登山者の俺は、正直言って、そんなに達観してなく、
悪条件に近い中での山歩きを残念に思ってました…。
そもそも、天気が悪いという予報なら、俺は山には行かないですからね。
現地で雨に降られれば、仕方なく歩きますけど…。

>方向を間違えていたパーティ凄いですねぇ。
稲子岳から来たのなら、にゅうの横を通り過ぎちゃっていたのですかね?

にゅうの西方に出て、そこから更に西方に向かったようです…。

>私の衝撃体験は・・・前に明神で、登山の格好をした方に
明神岳を指さして「あれは槍ヶ岳ですか?」と
聞かれた事があります(^^;。

ナイスです!(笑)
明神岳が「槍ヶ岳」だったなら、
彼の中で、そこはどこだったんでしょう?
大キレット最低コル…?

その「登山の格好をした方」、実は単なる旅行者で、
コスプレで上高地周辺を散策してたとか…?(笑)
Commented by torajiro-joshu at 2010-09-27 21:46
★takebowさん、こんにちは。
お褒めいただき、ありがとうございます。
ガスはあっても仕方ないといった感じですが、風には閉口しました。
寒くて、山頂では休めないくらいでしたからね…。

まぁ、あの天気ならでは良さもあるんでしょうけど、
如何せん、ヘタレ登山者なもんで…。

「ペースが速くて」ということはないですよ。
寒くて、立ち止まれなかっただけかもしれません。
Commented by けろぼうず at 2010-09-30 00:08 x
それでも下山時晴れてきて良かったですね。
このルート行ったのは3年前かな。
寅さんの記事見てるとまた行きたくなりました。
この前の連休に白馬岳行きましたが、メチャクチャ寒かったです。
しかもずっと雨続き。
それが下界に下りた途端(しかも八方)、ピーカン晴れの酷暑。
秋山は極端で、ホント変わりやすいですね。
Commented by むかしむかし at 2010-09-30 21:35 x
寅次郎さま
少々「ハード」な山歩きになってしまいましたね。
それでもガスの間から見える山々や青空は
晴れた日にはない「嬉しい気分」にさせてくれますよね。

道迷いのパーティとの遭遇は
「そんなことも起こるんだ」という
よい教訓になって、寅次郎さんのお守り?になりますね





私の衝撃体験は
11月の上高地で
韓国からきた登山者に「穂高はどこですか?」と聞かれたことと
6月の涸沢で韓国の集団登山のガイドに
「北穂にはどこから登りますか?」と聞かれたことが
甲乙つけがたい衝撃質問です
Commented by torajiro-joshu at 2010-09-30 21:40
★けろぼうずさん、こんにちは。
晴れ間がのぞくのがちょっと遅かったような気もするんですが…。
まぁ、でも、あれ以上粘っていたら、
かえって雷に遭っていたかもしれません。
ですから、あれで良かったのかもしれませんね。

けろぼうずさんもこのルートを歩かれましたか!
このルート、晴れてれば、最高に気持ちいいでしょうね。

白馬、悪天候だったようですね…。
それからみれば、俺のなんて恵まれた方だったのかもしれませんね。
それにしても、下山したら、いい天気って…、
ちょっとガッカリですよね。

秋の天気が安定した日に、またみんなで山歩きしたいですね。(笑)
Commented by torajiro-joshu at 2010-09-30 22:03
★むかしむかしさん、こんにちは。
う〜む…。
お気楽山歩きとはいかなかったですね…。
気象条件がよくなかったです…。

それでも、むかしむかしさんが仰るように、
時折見える景色が、とても「嬉しい気分」にしてくれました。(笑)

道迷いパーティとの遭遇は、たしかに教訓になりましたね。
こまめな現在地確認をしなきゃ!ですね。

むかしむかしさんの衝撃体験もスゴいですね。(笑)
特に「ガイド」の方…。
そんなガイドに案内はしてもらいたくないですね。
まぁ、自分の場合、ガイドを頼んだり、ツアー登山に参加する
財力なんてありませんが…。

今秋、「お揃いのウェア」で山歩きしましょう!(爆)
by torajiro-joshu | 2010-09-12 23:59 | 山歩き | Comments(10)

私、寅次郎の好きな山、温泉、食べ歩き、愛犬(パグ)等に関して気ままに綴っていきます。


by torajiro-joshu